複数の回答を一覧で見れるだけで、ファクトチェックが容易に
「ChatHub」は、ChatGPTやBing、Bard、Claude、Llama 、Perplexityおよび20以上の生成AIツール(AIチャットボット)を複数選んで同時アクセスし、1つのインターフェースでシームレスな活用ができるChromeの拡張機能です。
Chathubの機能のなかでも特にウリとなる機能が、複数の生成AIツール(AIチャットボット)に同時に質問し、回答を一覧表示させて比較できるところ。ブログ記事などのコンテンツ制作時におけるハルシネーション対策、ファクトチェックの場面で非常に役立ちます。
ハルシネーションとは、生成AIが時に間違った情報や事実に基づかない情報を提供してしまう現象のことですが、複数のAIツールの回答を一覧で見比べることで誤情報や矛盾に気づきやすくなり、強固なファクトチェックが行えるようになります。
Chathubを使ったファクトチェックの流れ
ChathubはChromeの拡張機能です。メインブラウザにChrome使っている人なら、直感的な操作でラクラク実装できます。
Chromeウェブストアにアクセス→「ChatHub」で検索→インストール→[ChatHub – オールインワンチャットボットクライアント]を選択→「Chromeに追加]をクリックです。
インストールが完了すると、Chromeの拡張機能バーにChathubのアイコンが表示されるので、クリックして開きます。
左カラムにある[All-In-One]を選択すると、チャットボット比較画面が表示されるので、使用したいチャットボットを選択します。
同時に使用できるチャットボットの数は、無料版は2つまで。有料版なら最大6つまで可能です。
有料版(プレミアムプラン)の場合、決済を済ませるとライセンスキーが発行されます。キーを有料版のページにてアクティベーションすると、[All-In-One]でのチャットができるようになります。
基本的な使い方としては、下記のように「Claude 3」と「Perplexity」を選択し、同じ質問を投げかけて、回答を見比べる感じですね。
実際に使ってみるとわかりますが、複数の回答を一つのインターフェースで一括比較見比できるというのは、思いのほか便利です。ウインドウやタブを切り替える手間も省け、作業効率がアップします。
たとえば、入力したプロンプトの内容に対し、6つの生成AIツール(AIチャットボット)のうち5つの回答が共通していたら、その情報の確度は高いと考えられ、ハルシネーションの確認作業の効率が上がります。
ただし、生成AIツール(AIチャットボット)はそれぞれ異なるデータセットで学習しているため、同じ質問を同時にしたからといって、すべてのツールが同じような回答を返してくるわけではありません。当然、情報量や精度にも差があり、こちらが意図していないような回答をされることがあります。
なのでそこは前提に、回答が共通している部分や不一致の部分を照合したり、公式サイトや信頼性の高い機関のソースと併せて検証したりして、情報の信頼性を評価していく感じですね。
また、使用中の各AI生成ツールのAPIキーを取得し、Chathubの設定画面で有効にすれば従量制で利用でき、安定性と信頼性を担保できます。
ちなみに、複数の生成AIツール(AIチャットボット)に同時に質問してみると、レスポンスの速さに差があることがわかります。テキストにおける回答速度では、Bardが断トツに速いですね。
「Webアクセス機能」と「プロンプトライブラリ機能」が便利
わたしは無料版を少し触ってみて、「あ、コレ絶対便利なヤツだ」と確信したので、すぐに有料版(プレミアムライセンス)に切り替えましたが、有料版で特に便利と感じた機能が、「Webアクセス」と「プロンプトライブラリ」の2つです。
Webアクセスとは、生成AIが最新の情報をインターネットから取得し回答に反映させる機能で、より精度の高い情報が得やすくなるというものです。
通常、生成AIは、特定の期間までの学習データ(トレーニングデータ)に基づいて回答を生成します。たとえば、ChatGPTの無料版(GPT-3.5-turbo)のトレーニングデータは、2021年9月までです。この学習の期限を「カットオフ」と呼びます。
この仕組み上、常に最新のデータが回答に反映されるわけではないため、その生成AIが学習していない期間に関するプロンプトに対し、古い情報に基づいた回答をするといった現象が起きるわけですね。
そこでWebアクセス機能を使うことで、このカットオフを超えて、より新しい情報を取得して、回答に反映させることができるようになります。AIの学習データが古く、最新の情報に対応していない場合などに、特に役立つ機能といえます。
プロンプトライブラリは、よく使うプロンプトを保存しておいて、使いたい際にすぐ呼び出すことができる機能です。毎回長いプロンプトを入力する手間が省けるので、作業効率がグンと上がりました。
また、他の人が作成したプロンプトを使うこともでき、質問の幅が広がります。良いプロンプトが浮かばない時の参考にもなりますよ。
複数の生成AIツールを使う人ほど、高い費用対効果を実感
ChatGPT PlusやGemini Advanced、Claude Proなど複数の生成AIツール(AIチャットボット)の有料プランを使い分けている人なら、ここまでの説明で、Chathubの使用イメージは、大方ついたのではないかと思います。
「複数のAIツールに課金しているところに、さらに出費がかさむのはちょっと……」という人も多いでしょうが、有料版(プレミアムライセンス)は買い切り型で、35ドル(約5,200円ほど)とリーズナブル。1回購入してしまえばずっと使い続けられるので、継続的なコスト負担を抑制できます。
わたしのように、日頃から複数のAIチャットポットを使い分けていたり、ファクトチェックの作業に時間や労力を割かれている人には、即戦力ツールになること間違いなし。ChatHubは、複数の生成AIツール(AIチャットボット)を使う人ほど、高い費用対効果を感じられるツールです。
一方で、ChatGPTとGeminiをたまに使うくらいの頻度であれば、無料版の2つでも、そこまで過不足は感じないと思います。
「3つ以上の生成AIを比較したい」とか「画像入力機能が欲しい」とか「最新の情報を反映した回答を得たい」とか「過去のチャット履歴を検索したい」とか「よく使うプロンプトを保存して使いまわしたい」といった機能に魅力を感じるのであれば、有料版(プレミアムライセンス)を検討するといいでしょう。
Chathubの注意点について
注意が必要と思われる点をいくつか挙げておきますので、参考までに。
・生成AIサービスへログインしておく必要がある
ChatHubは、各生成AIサービスと連携して動作するため、事前に利用したいサービスのアカウント登録を行い、ログイン状態にしておく必要があります。アカウントがない場合、ChatHub上ではエラーが表示されます。
たとえば、ChatGPTの有料版(ChatGPT Plus)を利用していて、ChatHub上でもGPT-4モデルを使いたい場合、ブラウザでChatGPTにログインしていれば、自動的にChatGPTのモデルを選択して使用することができます。
・現時点では、Chrome拡張機能としての提供のみ
ChatHubは、Chrome拡張機能またはWebアプリとして提供されています。つまり、Google ChromeブラウザまたはMicrosoft Edgeブラウザ上で動作するツールであって、iPadやiPhoneといったモバイルデバイスで使用することはできません。
現時点で公式の発表があるわけではないのですが、そう遠くないうちに、firefoxやSafariなど他のブラウザへの対応、スタンドアロンアプリケーションとして提供されていく可能性が高いと個人的には見ています。
・最終的な真偽のジャッジは、ユーザー自身の目で行う
ChatHubはあくまで、一つのインターフェースで複数のAIに同時アクセスし、回答の比較を容易にするといった用途で使うツールになります。
出力された情報の信憑性まで担保してくれるものではないので、ChatHub上で提供された情報を鵜呑みにするのは問題があります。
基本的には、ファクトチェックの精度を高めるための手法の一つとして活用し、必要性に応じて、専門家や有識者からの意見も仰ぐといいでしょう。
ファクトチェックにおける最終的な真偽のジャッジは、ユーザー自身の目で行う必要があることに、変わりはありません。
・1日の利用制限がある生成AIツールを使う場合
たとえば、「Bing COPILOT」を使う場合、1日の会話回数に制限(※無料会員は10回、有料会員でも30回まで)がありますが、ChatHub上でBing COPILOTを使用する際にも、この制限が適用されることになります。
よってChatHub上で制限回数を超えた場合、新しい会話に強制的に移行され、それまでの会話内容がリセットされる点にご注意を。
おわりに
わたし自身、Chathubのポテンシャルを十分に引き出した活用が出来ているわけではないのですが、ファクトチェックの強化とハレーション対策をメインとして使うぶんには、これといった不満は何もありませんね。
まずは無料版で試して、物足りなさやウイークポイントが目に付くようなら、有料版を検討するといいでしょう。
本記事を通じて、「Chathubイイかも?」と思えたら、ぜひ使ってみてくださいね。ご精読ありがとうございました。
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