2024年7月25日、対話型AIの「ChatGPT」を開発する米OpenAIが、ネット上の情報にリアルタイムでアクセスするAI搭載検索エンジン「SearchGPT」を発表しましたね。
SearchGPTは現在、少数のユーザーとパブリッシャーにのみ公開されており、OpenAIはフィードバックを収集し、さらなる改善を続けています。
なお公式サイトからウェイティングリストにエントリーし、テスターに選ばれた場合は、プロトタイプをいち早く利用することができるようですね。
料金体系などは明らかになっていませんが、将来的にSearchGPTの機能は、ChatGPTに統合される予定とのこと。
「ググる」「パプる」に続き、追い越せとばかりに、AI搭載リアルタイム検索エンジンの本命が「とうとう出たね。。。」って感じですが、現状わかっているポイントをざっとまとめましたので、情報収集の一助になれば幸いです。
ChatGPTライクな対話型検索
SearchGPTは、従来の検索エンジンとは異なり、最新のAIモデル(GPT-4Oなど)とWeb検索を組み合わせることで、最新のデータを含む検索結果を、会話型で提供するのが特徴です。
従来の検索(Google検索)は、検索窓にキーワードを入力し、表示された検索結果の中から、自分に合いそうなものを一つずつ確認していくという流れでした。
一方、SearchGPTでは、Chat-GPTのように会話形式で、知りたい情報の質問を投げかけます。一回目の質問でめぼしい情報が見つからない場合は再度フィードバックを行い、欲しい情報が見つかるまでやり取りするという流れになります。
SearchGPTでは、過去の質問の文脈を踏まえたフォローアップが可能で、時事的な質問や位置情報を活用したローカル情報(レストランや天気など)を得られます。また、画像や動画の検索もできる模様です。
SearchGPTは、信頼性の高い情報源をベースに、迅速で正確な回答を、より人間に近い自然な対話形式で行う新しい検索体験です。検索機能に特化したChat-GPTといった感じでしょうか。
以下は、SearchGPTのプロモーション動画のキャプチャです。プロトタイプのため、UIなどは今後変更になる可能性は高いですが、おおよその使用イメージはつくものになっています。

動画内では、「music festivals in boone north carolina in august (8月にノースカロライナ州ブーンで開催される音楽祭)」という質問を例に、「複数の音楽祭のリストアップ」という形で回答しています。

左カラムには、回答の根拠となった出典元、リンクを表示。情報源を容易に確認できる設計にすることで、ユーザーが情報に辿り着くまでのプロセスを効率化します。
ユーザーはソースを追うことにより、信頼できる情報かどうかを自身の目でジャッジできます。フェイクニュースや偏った情報の拡散を防ぐ効果が期待できます。

また、出典元を明確に記載し、強調された表示にすることで、パブリッシャーやクリエイターのWebサイトへのトラフィック促進を意識させるものになっています。
質問への回答に対し、「is the jones one family friendly(ジョーンズのコンサートは家族連れに優しいですか)」と追い質問してみると、

「Yes, the Summer Concerts at the Jones House in Boone, North Carolina, are family-friendly events.(はい、ノースカロライナ州ブーンのジョーンズハウス(文化センター)でのサマーコンサートは、家族向けのイベントです。)」
といった具合に、以前の質問の文脈を踏まえて、回答を行っていることがわかります。

このようにSearchGPTは、最新のAIモデルとリアルタイムのWeb情報を組み合わせることで、従来のキーワード検索とは異なる、より自然で効率的な検索体験を提供しています。
そんなSearchGPTのライバルと言えるのが、Googleの「AI Overview」、Perplexityの「Perplexity AI」、そしてMicrosoftの「Bing」です。これらもAIを用いて、検索結果を表示します。
ちなみにわたしは、「Perplexity Pro」(Perplexity AIの有料版)も使ってまして、SearchGPTのプロモを見た感じ、機能性や使用イメージはPerplexityによく似ていると思いました。
なお、Perplexityが現在、スクレイピング行為でWIREDやForbesから批判されている状況を鑑みて、後続であるSearchGPTは、とりわけ引用の透明性を重視する検索結果のまとめ機能を最適化して、差別化を図ってくるものと思われます。
そのため、競合のAI検索エンジンと比べて、より正確で信頼性の高い「クリーンな回答」を提供できるツールになるのではと、個人的には期待してます。
コンテンツを勝手に使われたくない場合、ブロックができる
SearchGPTは、独自のクローラー(OAI-SearchBot)を採用し、AI技術とリアルタイムのウェブ情報を組み合わせて情報を収集しています。
ただし、パブリッシャー(Webサイト管理者)が自社のコンテンツ情報を、SearchGPTに勝手に収集されたくない場合、robots.txtファイルを適切に設定することで、クローラーがサイトにアクセスするかどうか、また情報をどのように使用するかの制御が可能です。
robots.txtというのは、クローラーの巡回を制御するために使用されるファイルで、「収集禁止」と書いてあるサイトは収集してはいけないルールが敷かれています。なおOpen AIのクローラーの概要は、公式サイトで確認できます。
このように、robots.txtを使うことで、クローラー(OAI-SearchBot)をブロックができるという話ではありますが、OpenAIは、「SearchGPTは検索に特化しており、Open AIの生成基盤モデルのトレーニングとは別のものであることから、パブリッシャーがOpenAIのAIトレーニングをオプトアウトしても、検索結果に情報が表示される可能性はある」とし、完璧に防げるものではない点を強調しています。
そのため、実際の精度については今後の動向を見て判断ということになりますが、この点についてOpenAIは、パブリッシャーと協力し、SearchGPTにおけるコンテンツの表示・流出方法を管理するツールをリリースしていく模様です。パブリッシャーの選択肢を増やし、より多くの管理権限を持たせることで、著作権まわりの強化を図るつもりなのでしょう。
SearchGPTの参入が、SEOの転換期に?
SearchGPTの参入で、従来のキーワード検索中心の考え方から、AIを考慮したSEOへ転換していく必要性が高まるとの見方がされています。
というのは、SearchGPTが今後、Googleに取って代わる検索時のファーストチョイスになっていくのであれば、Webサイト運営者は、Google検索で上位表示される施策、つまりSEOだけではなく、SearchGPT上で上位表示されるための施策、いわば「SGO」にシフトしていくことになる、という話です。
OpenAIは現在、ChatGPTの成功で得た潤沢な資金を元に、SearchGPTの開発や、より大規模なAIモデルのトレーニングに投資しています。
一方、Googleも、SearchGPTに対抗するため、対話型AI「Gemini」の開発を加速させているだけでなく、検索以外のサービスにも統合しようとする動きがあります。
SearchGPTの参入は、これまで絶対的であったGoogleの検索事業に対し、明確な挑戦状を叩きつけるものであり、「ググる」の終焉をもたらし得る可能性を秘めています。今後のAI検索時代の第一手の到来を予感させますね。
おわりに
というわけで、SearchGPTについて、現状わかっている点をざっくりとお届けしました。
本記事執筆時点(2024年7月時点)で、SearchGPTは一般公開もされていない状態ですし、将来的にGoogleを喰らかどうかは、あくまで可能性の話に過ぎません。
また、SearchGPTが一般公開されれば、さまざまな問題が表面化してくるでしょうし、競合がそこにつけ込んでの覇権争いが続くでしょう。
ただし今後、あなたがどのAI検索エンジンをメインに使っていくにせよ、SEO戦略におけるSearchGPT上で上位表示されるための施策の重要度が高まっていく可能性は高いと考えられます。
わたしたちサイト運営者は、このAI検索時代の波にいち早く順応するためにも、状況と変化に逐一目を光らせ、しっかりと対応する必要がありますね。
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