記事を読み始めたばかりで脈絡もなしに、「この商品いいですよ!」とか「このサービスは最高です!」などとアピールしたところで、購入にはまず至りません。
記事の流れから、自然に商品・サービスの注意喚起、購入へつなげるには、
・「これは本当に便利そうだ」
・「これは持っておかないと、流行に乗り遅れるかもしれない」
・「これは今買っておかないと、買えなくなるかもしれない」
といった具合に、「なぜ、その商品・サービスを購入する必要があるのか?」を読み手に提示して、必要性や緊急性を意識させるというのが効果的です。
そういう気持ちになってもらうために、重要になってくるのが、心理効果を意識したライティングです。
心理効果と言っても、そんな小難しい話ではありません。
たとえば、TVショッピングやドラマなどでもよく使われているものなので、「あー、あれか」って感じで、とっつきやすいはずです。
よく使われるということは、それだけ結果につながりやすいということです。
本記事では、人の心理・行動のメカニズムを意識した言葉・表現などを用いて、購買を促すライティング技法を“セールスライティング”と定義します。
そして、わたしが実際に業務レベルで活用し、有効性を実感している“8つの心理効果”について、解説していきます。
マネタイズを狙った記事を作成するうえで、これらの心理効果が“強力”であることを頭の片隅に入れておいて損はありませんよ。

8つの心理効果をムリに詰め込んでしまうと、かえって胡散臭くなったり、文章の展開が強引になり、グダグダになる場合があります。
扱うテーマや商品・サービスとの相性を考慮し、バランスに注意して取り入れてみてくださいね。
【禁断】稼ぐライター、ブロガーが使う8つの心理効果ライティング
もくじ
①:プライマシー効果(初頭効果)
人の記憶は、最初に与えられた情報の“冒頭の部分”が記憶に残りやすいとされています。脳は、初期に得た情報をもとにして、人や物に対するイメージ形成を行うのです。
たとえば、あなたが初対面の相手から「感じの良い人だな」と好印象をもってもらうことができれば、次に再会したときにも、「この前の感じの良い人だ」という記憶が残り続けます。
一方、第一印象から「感じの悪い人だな」と思われてしまえば、その時の印象がしつこく、相手の記憶に残り続けてしまうので、イメージの払拭は容易ではありません。
好印象な人であれば、「仲良くなりたいな」とか「どんな人なのか、もっと知りたいな」と興味を持つように、人間関係もWebの文章も本質は同じ。記事の第一印象(ファーストビュー)がイイ感じであれば、「続きを読んでみよう」という気持ちにもなれるわけです。
また、記事の第一印象は、それ自体が「記事全体の印象」にもなります。
そのため、記事の冒頭部分では、あなたの記事を読んだ相手に、どんな印象や感情になって欲しいのかを、明確にイメージして作成する必要があります。
イメージするコツとしてやってみて欲しいのが、
自分が読者側だったら、ワクワクするか? 続きを読みたいと思えるか?
を自分自身に問いかける、です。
書いているあなた自身が、ワクワクしない、続きも気にならないのなら、まず読まれません。
たとえ記事の後半に見せ場(超有益な情報)が待っていたとしても、読んでもらえなえければ意味がないですよね。
ファーストビューは、読者の心をつかむ最初で最後のチャンス。ワクワクして続きが気になって仕方ないと思えるような導入をできるだけ目指しましょう。
②:カリギュラ効果
人は禁止や制限をされると、選択肢を失って心理的に不安定になります。
するとその状態を回復しようと逆に興味を持ったり、禁止された行動をとろうとしたりします。この心理現象を「カリギュラ効果」といいます。
ダチョウ倶楽部さんの「押すなよ、絶対押すなよ!」や「鶴の恩返し」「パンドラの箱」とかをイメージするとわかりやすいと思います。
カリギュラ効果を狙った「○○してはいけない」系のタイトルは、ブログやYouTube動画の見出しの型として定番です。
・【FPが解説】やってはいけないお金の貯め方
・【実は逆効果】 やってはいけないSEO施策10選
・絶対マネしないで! 強力すぎて「痩せすぎる危険性」があります。
・得したくない人は、キャンペーンから申し込まないでください。 >> 詳しくはこちら
・【※※閲覧禁止※※】
また、カリギュラ効果を用いたプロモーションとして有名なのが『モンスターストライク』のCMです。
「モンスト、絶対にやるなよ!!!」
プレイの禁止をあえて促がすことでユーザーの欲求・好奇心を逆に刺激し、購買意欲を高めることに成功しています。
「やったほうがいい」よりも「やってはいけない」に人は反応しやすいことが、実証された好例といえますね。
カリギュラ効果は「絶対してはいけない」の理由が明確かつ、読み手にとって納得感のあるものでないと発動しません。
内容がともなっていなければ、単におどろおどろしいだけの「釣りタイトル」とみなされる危険性も高まります。
また、「〇〇しないでください」や「〇〇してはいけません」といったマイルドな言い方であれば問題ないですが、「〇〇するな」のような命令形は読み手との信頼関係(ラポール)が築けていない場合、反発されやすいので避けたほうが無難です。
見出しの定番の型として「使い古された感」は否めないカリギュラ効果ですが、まだまだ有効な心理効果の一つ。使い所を見極めて活用できると強力ですよ。
③:リーセンシー効果(最新・親近効果)
「リーセンシー効果」とは、心理学における「親近効果(recency effect)」を広告に応用した心理効果で、博報堂が紹介したことから、広く知られるようになりました。
リーセンシー効果を狙ったものでわかりやすい例が「レビュー」です。
たとえば、ある商品を買うかどうかで迷っているとき、実際に購入した人のレビューを参考にすることってありますよね。
その際、レビューの内容に納得感があって投稿日付も新しかったら、「この情報は信用できそう」と思ってしまいませんか?

人は、直近に得た情報に影響されやすく、印象に残りやすい性質があります。さらに「鮮度の高い情報のほうが信頼できる」と認識する傾向もあり、古い記憶を上書きしようとするのです。
そのため、記事内でユーザーボイス(お客さまの声)やツイートなどを埋め込んで掲載する場合、コメントの内容はもちろん、日付もなるべく新しいものを選ぶといいでしょう。
また、記事の終盤で「まとめ」の段落を設けている記事は多いですが、これは読み手に印象づけたいポイントをおさらいさせることでリーセンシー効果が発動し、記憶に残りやすくなる効果があります。
④:ツァイガルニック効果
「ツァイガルニック効果」とは、心理学者のブルーマ・ツァイガルニック氏が1927年に提唱した心理効果です。
ツァイガルニック効果を狙った例でわかりやすいのが、TVのバラエティ番組なんかでよく見る「引っ張り」の演出です。
CMに入る直前って、以下のような文言のテロップがよく流れますよね。
・正解はCMのあとで!
・このあと、まさかのハプニング発生にスタジオが凍りつく!?
・40秒後、信じられない結末が待っていた……!
・続きは番組公式サイトにて公開中! → http://*****
人の記憶は完成された課題よりも、未完成なままの課題のほうがとどまりやすい性質があります。
CM中は視聴者が離脱しやすいタイミングなので、「えっ、この後どうなっちゃうの?」と気になるところで止めることにより、視聴者の関心を繋ぎ止める効果があります。
視聴者は「結果を確認してスッキリしたい」のでCM明けまで待ちますし、続きが気になる人はサイトにアクセスするといった行動を起こすのです。
⑤:ハロー効果(後光効果)
「ハロー効果」とは、人が対象物に対して後光(威厳)を感じ取ったとき、その印象が歪められる心理現象のことです。
ハロー効果の例としてわかりやすいのが、アメリカ大統領選の応援演説です。
候補者の応援にハリウッドスターやアスリート、歌手など知名度や高感度が高いインフルエンサーが駆けつけ、候補者の政治手腕や人柄などをアピールしたりしますよね。

候補者の政治手腕や人柄にインフルエンサーは無関係です。しかし、人は何かしらの要素が際立って優れていると、その他の要素まで優れていると認識する傾向があります。
高感度の高いインフルエンサーが応援することで、「あの人が応援するくらいだし、いい政治家なのかもしれない」と好感を持ったり、高評価したりするのです。
尊敬の対象が関わっているものもまた、尊敬の対象になりやすいというわけですね。
⑥:レストロフ効果(孤立効果)
「レストロフ効果」は「孤立効果」ともいわれる心理効果で、わかりやすい例がスーパーのちらしです。

特売ちらしでは、セール商品に対し割引価格の文字の色を赤にしたり、サイズを大きくしたりして目立たせていますよね。
人の目は本能的に、色・形が違うものに向きやすいので、似たような商品名や文字が並んで差別化しにくい場合、他とは異なる特徴をもたせて印象に残りやすくしているのです。
Webの文章の場合、文字色やサイズ、ハイライトなどで文字装飾を凝らすことでレストロフ効果が発動します。
ただし、色の使いすぎや文字サイズのバラつきなどは視認性・可読性を下げ、逆効果になりかねないので注意が必要です。
また、人は「一貫性のある内容」に安心感を覚えるので、明確な意図のもとルール化された文字装飾は統一感を演出します。記事の読了を促がす施策としても効果的ですよ。
▼ Web文章の効果的な文字装飾の使い方は、以下で解説してます。
⑦:権威効果
「権威効果」とは、地位や権力のある人、あるいは専門知識を有する職種の人の発言・行動に、無意識に従ってしまう人の性質のことです。
実際、医師や教授など「権威性が高い」とされている職種の人から教示されると、「エライ人が言うのならそうかも……」と信じてしまう場面は少なくないでしょう。

記事を書くうえでも権威性を示すことは重要。記事の内容が良くても権威性を示せていなければ、読者の信頼を得にくいからです。

・エラそうに語ってるけど、お前誰だよ?
・っていうか、それをお前が言うな。
・何様だよw
では具体的にどうすれば、書き手の権威性を示すことができるのか?
ひとえに「発信者の情報開示」です。たとえば、実名や顔写真の公開、職業や実績などを示して、「そのジャンルにおいて語るに足るだけの知見を備えている」とアピールするのです。
読み手が情報提供者の立場・実績などを知りたいと思うのはごく普通の心理ですよね。
なので相手の信頼を得たいなら、自分が誰で、どんな立ち位置から物申しているのか、自分のポジションを明確にする必要があるのです。

この記事は専門性のある人が書いているみたいだし、信頼できそうだな。
記事の冒頭からそう印象づけることができれば、書き手の信頼性が高まり、文章にも説得力が宿ります。
すると読者の読む意欲も高まるので、読了率やページ滞在時間のアップなども期待できるでしょう。
⑧:プロスペクト理論
人は得することより、損することを恐れます。
この「損をしたくない」というごく自然な感情が、無意識に行動に影響を与える心理を「プロスペクト理論」といいます。
この理論にもとになるのが「損失回避性」という法則で、人は「利益を得る」場面では確実に利益を得たいと感じる一方、「損失がある」場面では利益より損失を全面回避することを優先する傾向があります。
ちょっとわかりづらいので、プロスペクト理論の提唱者であるダニエル・カーネマン氏の有名なコイン実験を踏まえて解説します。

A:無条件で10万円もらえる
B:コインを投げて表が出れば20万円、裏が出れば0円
この条件下では、被験者のほぼ全員がAを選択。確度の高さから利益を優先したノーリスク・ローリターンの典型ですね。
一方、「被験者には20万円の借金がある」という条件付きになると、なんとほぼ全員がBを選んだのです。
✔ 人は利益が手に入る可能性が高い場合、「手に入らないリスクを回避する」を優先する。
✔ 人は「損をしている状況」や「失う可能性がある」場合、損失そのものを回避することを優先する。
この心理傾向を踏まえると、
「この商品を使うと、こんなにいいことがありますよ」
と利益(プラス面)を訴求するより、
「この商品を使わなかったら、これだけの損失を被りますよ」
と損失(マイナス面)を訴求したほうが反応しやすく、後の行動にもつながりやすいと考えられるのです。
このように、商品・サービスの購入といった、買い手に何かしらの決断を促す場面では、
・買わなかった場合に被る具体的な損失
・後悔する未来の自分
をイメージさせるのは、プロスペクト理論を狙ううえで有効な見せ方です。
たとえば以下のような感じ。
・期間限定キャンペーン中につき、本日2割引きです。明日からは2割増しです。
・1日コーヒー1杯分の出費だけで、ご自身の健康とご家族の笑顔を守ることができます。
・初回限定版はなくなり次第終了です。次回入荷はありません。残念ですが転売ヤーからお買い求めください。
行動経済学の理論では、人があるものを失うときの惨めさは、それを得るときの幸福感のおよそ2倍にもなるといわれています。
あおりが強いとおどろおどろしい内容になるのでさじ加減が必要ですが、欲求・好奇心を駆り立て、相手の意思決定をある程度コントロールできる強力な心理効果です。意識して使えるようにしたいテクニックですね。

お疲れさまでした。
よく読まれ、よく稼ぐ記事の多くは、人の心理・行動のメカニズムを意識したセールスライティングで書かれています。
まずは一つ、使いやすそうと思った効果を既存の記事に取り入れてみてくださいね。
インプットだけではなかなか身につきません。どんどんアウトプットして体に染み込ませましょう。
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アフィリエイトや記事広告制作で稼げているライター・ブロガーは、読み手に「有益な情報」を提供するのはもちろんですが、記事の流れから自然に商品・サービスへ誘導するのが巧みです。