客観視がニガテなWEBライター必見! 自分の文章を他人の目で見直す方法

 

なぜ、自分が書いた文章の客観視は難しいのか?

 

自分の書いた文章を客観的に見るのって、難しいですよね。その理由の一つは、文章を書いたときの感情や思い入れの強さによる影響です。

自分の書いた文章は、自分自身とあまりにも一体化しています。そのため、書き手の視点を捨て、純粋ないち読者として、冷静に読むのが難しくなります。

あと、「書き手は、読み手よりも多くのことを知っている」という点も、自分の書いた文章を客観視しにくくさせる理由の一つです。

一般的に、書き手はそのテーマや事柄について読み手よりも詳しいので、説得力のある内容を書けるものです。

しかし、書く内容は書き手にとって“既知の情報”であることから、新鮮味や面白みを感じにくくもなり、思考が偏りがちになることがあります。すると主観も強くなり、客観性を欠いた内容を書いてしまっていても、なかなか気づきにくい。

このような理由から、客観視(自分の書いた文章と適切な距離を置く能力)は、簡単には身につかない能力といえるでしょう。

 

自分のことはよくわからない。だからこそ客観視に価値がある

 

「よし、いい内容が書けた! これならきっと面白いはずだ!」と思えていた文章なのに、翌日見直してみたら、「…何コレ!?」とショックを受けた経験、誰にでもあると思います。

書き手の主観で書き続けていると、しばしばこのような事態に陥ります。書き手の願望や思い込みが強いあまり、いつの間にか“読み手非ファースト”な内容ばかりを発信してしまっているのです。

自分にとっては当たり前のこと、面白いと思えることが、他人から当たり前ではなく、少しも面白くないというのはよくあります。

そのため、書き上げた文章をチェックする際、書き手としての思考や願望はバッサリと切り捨てて、利害関係ゼロの純粋ないち読者の視点で原稿と向き合わないと、文章の客観性を担保することが難しくなるのです。

実際、自分の書いた文章が面白いのか、書いた本人が実はよくわかっていなかったりします。自分のことは、自分ではよくわからない。だからこそ、客観視することに価値があるのです。

 

客観視で、文章全体のクオリティを底上げできる

 

自分の書いた文章を客観的に見られるようになると、読み手のニーズ(希望や目的)やウォンツ(方法・心理)を高感度で捉えられるようになっていきます。

そのテーマやキーワードで検索している読み手が、どんな情報や結論を求めているのかがわかるようになってくると、逆に、「読み手が求めていないもの」もわかるようになってきます。

すると、記事の構成や文章量の配分など全体設計がクリアになり、書いているときには気づきにくかった文章の粗や不備にも気づきやすくなります。

その結果、記事全体のクオリティの底上げ、記事完成までの時間短縮につながるのです。

 

“編集者” になったつもりで、自分の書いた文章をジャッジする

 

自分の書いた文章を客観視するというのは、書き手だった自分の視点を一度完全に切り捨てて、読み手の視点から厳しく評価することを意味します。

とはいえ、ついさっきまで書いていた自分と同化している文章を、即座に“他人の目”に切り替えて読むのは、ライティングを生業にしている人でも簡単ではありません。

そもそも、文章を客観視する能力(自分の書いた文章と適切な距離を置く能力)は、文章を客観的に読もうとする意識を常に持ち続け、推敲を積み重ねていくことで、徐々に身についていくものだからです。

そのため、「客観的に読むぞ!」と意気込んでも、自分の主観や思想の偏りを排除することは、なかなか難しいのですね。

そこで、ぜひ取り入れてみて欲しいのが、“編集者視点”を持つことです。

編集者の仕事の一つが、原稿のクオリティを高めるために、文章の良し悪しを見極め、容赦なくダメ出しを何度も行うことです。

いま目の前にある原稿は、あなたがつい先ほどまで書いていたものではなく、「赤の他人が持ち込んできた原稿」と仮定してみてください。

あなたはその赤の他人から、「ぜひ、忌憚のないご意見をお聞かせください!」と切望された体で、さながら出版社の編集者になったつもりで、自分の書いた文章を他人の文章として、厳しくジャッジしてみるのです。

「編集者になったつもりで読む」のが有効なのは、わたしたちは他人の書いた文章であれば客観的に読むことができ、批判・批評も比較的簡単にできるからです。

たとえば、Yahoo!ニュースの「コメント機能」ってありますよね。あれって、大河ドラマのキャスティング発表の記事から、遺族年金廃止のデマ報道まで、誰もが勝手に口を突っ込んでは、あれこれと批判・批評していますよね。

それが案外、的を射ていたりもするんですけど、あんな感じで、人は自分と直接関係がないことなら、「ここが良い」とか「ここが悪い」とかのジャッジを冷静にできたりするんですね。

たとえば、文章の指摘の場合で言うと、

・「エピソードが具体的じゃないから、いまいち人物像が見えてこないな」

・「この用語って日常的にまず使わないから、もっと身近な言葉にしたほうが共感しやすいんじゃない?」

・「このデータっていつ時点の話? 最新の数値じゃないと信ぴょう性がないし、最新のデータじゃないにしても、調査時期は入れておいたほうがいいんじゃない?」

といった感じで。

執筆中は自分の世界に没頭するあまり、読み手の心理や感情をうまくイメージできていないタイミングが何度も訪れます。こういうときは主観が強くなり、客観性を担保できていない内容または、読み手が求めていない内容を書きすぎてしまいがちです。

編集者視点を意識することで初めて見えてくる文章の粗や不備というものがあり、そこに気づけるようになると、自分の文章をより客観的に見れるようになっていきます。WEBライターにとっても、編集者視点を意識することは重要なことなのです。

  

文章の客観視を助ける具体的な方法

 

ここからは、某広告代理店の編集者兼ライターである筆者の経験則から、文章の客観視を助ける具体的な方法について、6つ取り上げてみたいと思います。

 

①:時間を置いて文章を寝かせる

 

自分の文章の客観視がしにくいのは、書き手の気分や感情が文章と強くリンクしているためです。

特に書いた直後は、書き手の熱がこもり過ぎていて、文章の粗や不備に気づきにくいものです。だからまず、その熱をクールダウンさせる必要があります。

そこで有効なのが「時間を置くこと」です。時間を空けることで、書き上げた直後の高揚感を鎮め、平常心を取り戻すことができます。

最低1日、できれば1週間、欲を言えば1ヶ月くらい空けられるのが理想ですが、時間的な制約も当然あるでしょう。その場合は小1時間でもいいので、できるだけ書くことから離れた状況や環境に身を置くようにしてください。

書き上げた直後のテンションと記憶が薄れれば薄れるほど、書いた文章と距離を置くことができ、客観視がしやすくなります。

たとえば、パソコンの前から完全に離れて、外を散歩したり、軽いストレッチや運動をしたりして、動的な時間を意識して過ごせるといいと思います。

文章の客観性とは、書き手の意図やこだわり、残像を取り払ったところに存在します。そのため、書いた内容を一度忘れてしまうくらい、書くことと関係ない行動をとるのが効果的なのです。

 

②:複数のデバイスを使ってチェックする

 

原稿執筆をPCで行う場合、書き上げた文章のチェックもPCのブラウザ上で完結することが多いと思いますが、スマホやタブレットでも確認することを推奨しています。

ちなみにわたしは、PCでの原稿チェックに加えて、タブレット(iPad-Pro、Lavie tab)、スマホ(iPhone、Android)の4つのモバイル端末を用いた目視確認をマストにしてます。

PCからモバイル端末に変わることで視覚的な違いが大きくなり、執筆中には気づかずスルーしてしまっていた文章の粗や不備にも気づきやすくなりますよ。

「複数のデバイスをわざわざ使わなくても、レスポンシブ対応の確認で使う『Responsive Viewer』みたいな拡張機能を使えばいいのでは?」と思われた人もいるかもしれませんが、重要なのは「書いた直後の熱を冷ますこと」「書いていた際の記憶を薄めること」なので、執筆時とは異なるデバイスを使うことに意味があるのです。

 

③:横書き→縦書きに。ゴシック体→明朝体に。シート背景色を白→黒に

 

私は記事を書く際、Appleの「Pages」という文書作成ソフトウェアを使って、「横書き」形式でシートを作成し、フォントを「ヒラギノ丸ゴ ProN」で書いています。

そして原稿をチェックする際は、表示形式を「縦書き」に変更し、フォントを「游明朝体」に変更し、さらにシートの背景色を「白」から「黒」に変更します。

小説や新聞を日頃から読む人なら「縦書き」に抵抗は少ないでしょうが、多くの人は文章を横から読むことに慣れきっているので、けっこうな違和感を覚えるはずです。

見慣れない「縦書き」表示に変わるだけでもだいぶ新鮮な印象になり、さらに普段使いしてないフォント・背景色に変えることで、自分で書いた文章でありながら「初めて見る」文章に近づき、客観視がしやすくなります。

   

④:黙読でインプット。音読でアウトプット

 

原稿をチェックをする際、多くの人は黙読で済ませがちですが、わたしは声に出して読み返す「音読」を実践することを推奨しています。

黙読の場合、ちゃんと読んでいるつもりでも、ぼんやりと読み流してしまうことが少なくありません。それでは「読み返し」の効果が薄れてしまいます。

実際、声に出してみることで初めて、誤字脱字やリズムの悪さ、違和感のある言い回し、言葉の過不足などの文章の粗や不備に気づけることはよくあります。

なのでまずは黙読で読み取った情報を脳にインプットし、声に出す音読でアウトプットをする。その変換の過程で、脳はそれを自分と切り離された客観的な情報として認識することから、客観視の助けになるのです。

音読は黙読より時間がかかり、場所や状況も選びますが、声に出さずに口をパクパク動かしながら読むだけでも、十分な効果が期待できます。

文章の不自然さや違和感を見過ごさないためにも、音読での確認作業をマストにすることをおすすめしますよ。

 

⑤:プリントアウトして紙面でチェックする

 

PCで文章を書く場合、PCのプレビュー機能で文章を読み返すことになりますが、プリントアウトした紙面でチェックすると、より客観的に見ることができ、推敲の精度をグッと引き上げられます。

紙面で見るメリットとして大きいのが、ひと文字ずつ目で追いながら、書き込んでいける点です。赤ペンを片手に、線を引いたりなぞったり、メモを添えたりしながら読んでいくことで、文章の違和感や不自然さに気づきやすくなります。

不思議なことに、印刷した活字で見ると意識が「主観」から「客観」へシフトし、文章の粗や不備に気づきやすくなります。普段、PCのブラウザ以外でのチェックをされてない人ほど、違いを実感しやすいと思います。

なお何度か印刷してチェックする場合、2枚目は横書きから縦書き表示にしたり、フォントを変えたりしてもいいでしょう。印刷の都度、見た目が変わることにより、自分の書いた文章と距離ができて客観視の助けになります。

すべての文章を印刷するとなるとコストはかかりますが、商用記事広告やプレスリリース、営業資料、契約書類など重要度の高い原稿のチェックにおいては、ケチらないのが賢明です。印刷代より信用を失うことのほうがよっぽどマイナスです。

  

⑥:原稿を一度手放して、誰かと共有する

 

文章を客観視するには、書き手としての主観や思考をどれだけ遠くに追いやれるかが鍵になります。

自分一人だけで原稿をこねくり回しているうちは、なかなか客観視ができないので、ある程度のところまで書き上げたら一度手放して、誰かと共有してしまうのがいいでしょう。

未完成の時点で誰かと共有する目的は、「自分一人だけの原稿ではない」という状況をつくり出すことにあります。

一度原稿を手放すことで、それは自分だけの文章ではなくなります。すると精神的な距離ができ、ある種の余裕、他人事という感情が生じます。それが客観視の助けになるのです。これは実際にやってみないと実感しにくいのですが、非常に効果的です。

完成度の低い状態で見られたくないのなら、「まだタタキ原稿だから粗いけど、サクッと読んで率直な感想を聞かせてくれる?」などと付け加えるといいでしょう。

そのほうが頼まれた相手もチェックしやすくなりますし、仮に辛辣なことを言われた場合でも、まだ途中段階なのだから、凹む必要もありません。

  

まとめ:客観視がニガテなWEBライター必見! 自分の文章を他人の目で見直す方法

 

お疲れさまでした。最後に本記事のまとめをして筆を置きます。

 

▼自分の書いた文章の客観視がしにくい理由

・書き上げた直後は、書き手の感情や思い入れが文章と強く一体化していることから、冷静に読むことができない。

・書き手は記事の題材、情報について読み手よりも詳しく、書き手にとっては既知の情報にもなることから、思考・主張が偏りがちになり、客観性を欠いた内容を書いていても気づきにくくなる。

 

▼客観視のメリット

・自分の書いた文章が面白いのか、つまらないのか、書いている本人が実はよくわかっていない。だからこそ、他人の目になって客観視することに価値がある。

・自分の書いた文章を客観視できるようになると、読み手のニーズ(希望や目的)やウォンツ(方法・心理)を高感度で捉えられるようになる。

・書き手の思考・願望といった偏りをなくすことで、読み手が求めている内容とそうでない内容の区別がしやすくなる。

・自分の文章を「他人の目」で見れるようになることで、文章の粗や不備に気づきやすくなり、記事の質が向上する。質の高い記事を短時間で作成できるようになる。

 

▼客観視を助ける具体的な方法

①:時間を置いて文章を寝かせる

②:複数のデバイスを使ってチェックする

③:横書き→縦書きに。ゴシック体→明朝体に。シート背景色を白→黒に

④:黙読でインプット。音読でアウトプット

⑤:プリントアウトして紙面でチェックする

⑥:原稿を一度手放して、誰かと共有する

 

本記事が、客観視がニガテなWEBライターをはじめ、自分の書いた文章を他人の目で見直せる能力を見につけたいあなたの一助になれば幸いです。ご精読ありがとうございました! 

  

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ABOUT US
HiraQ編集者/WEBライター/WEBデザイナー
都内の某広告代理店勤務。Web広告のライティング、編集、デザイン業務に従事。当サイト(Writehack.-ライトハックドット-)では主に、Webライターやブロガー、Webデザイナー向けに役立つ記事をゆるく発信します。山梨県出身。いて座のO型。犬より猫派。ラーメンは塩派。サッカーはプレミアリーグ派。