でも、写経がいいよっていうと、、、

それよく聞くけど、本当に意味あります?
としぶい顔をされることが多い(笑)
本記事は、
「写経って意味あるの?」
「そもそも写経すると、なんで文章力がつくの??」
「だったら効果的な写経のやり方を教えてよ!」
という方向けに書いてます。
ブログのアクセスアップやセールス文に効く文章を書きたいあなたの一助になれば幸いです。
もくじ
他者の文章を模倣することで得られるのは違和感(ギャップ)です
誤解のないように先に言っておきます。
「著名な作家やライターの文章を書き写せば、文章力が飛躍的に向上するよ」
ってことじゃありません。
わたしが文章力向上の一環として写経を勧めるのは、
他者の文章を書き写すことで自分の筆にはない「独特のリズム」や「文体(スタイル)」を体感的に捉える ことができるからです。
いわゆる「文章のプロ」とよばれる人たちの文章を一字一句意識してなぞっていくと、自分が普段書く文章にはない独特のリズムや文体(スタイル)が宿っていることに気づくと思います。
それはたとえば、
「なるほど! こういう書き方もあるのか」
という驚き。
「自分ならここまで書かないし、もっと適当に書いちゃうな……」
という反省。
「ここで句読点を打ったり体言止めを使うから読みやすいし、リズムも良いんだな」
という発見。
このようなある種の「違和感」です。
他者の文章を模倣することで、「こうは書けない自分」「こう書いてしまう自分」とのギャップを自覚できます。
そこから気づき・反省を得て、否応なしに自分の筆の過不足に気づく。それが成長の糧につながっていくのです。
自分が普段使わないような言葉のチョイスだったり、魅力的な表現の引き出しを増やすことにもつながったりするので、「写経で文章力が上がる」というのは総じて事実と思います。
「模倣は創造の母」なんて言葉もあるように、オリジナリティは模倣のくり返しから生まれるものです。
書き写しは手書き or タイピングどっちがいい?
書き写しはノートに手書きでもパソコン入力でもどちらでもいいですが、手書きはRAS(脳幹網様体賦活系)が活性化し、注意力・集中力を高め記憶定着にも有効だそうです。
なお書き写す際は、文章を音読しながらやるのを推奨します。
手・口・耳も動かすことにより運動的記憶が強化され、前頭前野(記憶や思考、判断などを司る部分)が活性化して写経効果が高まります。
思考停止状態でダラダラ写経しても収穫は少ない
書経の効果を高めるうえで重要なのが「分析」です。
ここでいう分析とは、書経する文章の書き手の狙いや、この文章がいいなと思った理由などを掘り下げることです。
・なぜ、「いいな」と思ったのか、心が動いた理由を考える。
・なぜ、このような伝え方にしているのか、書き手の “狙い” を考える。
・なぜ、この文章は読んでいて心地いいのか、理由を考える。
って感じです。
理由を掘り下げていくとたとえば、
・「一文の文字数が長すぎなくて読みやすい」
・「一文の漢字・カタカナ・ひらがなの比率のバランスがいい」
・「流行の新語や専門用語を多用せず一般的で身近な言葉に言い換えて、老若男女問わず伝わるように配慮されている」
などが挙げられます。
分析するうえで大切なことは自分なりの推論を立てることです。書き手の思惑を想像しながら文章を追い、自分の言葉にして書き写していくイメージです。
「写経と分析をセット」で行うと、記事内で使われている見出しのフォントや適当に選んでいるように見えるイメージ画像にも、書き手の意図が込められていることに気づきます。
逆に何も見つけられない文章は、単なる “悪文” の可能性があります。その場合、写経の題材としては微妙かもしれません。
あと写経は思考停止した状態でダラダラやっても得られるものは少ないです。分析とセットで行うことが大切ですよ。
写経のやり方に正解はあるの?
自分的にやりやすく、身につく実感のあるやり方が正解だといえますが、参考までに私のやり方を紹介しておきます。
まずは対象の文章を1回黙読します。次に1回音読します。それから音読しながら、実際に書き写します。
意識しているのは、手だけでなく目・手・耳・口を同時に動かすこと。身体全体を使って運動的に書経することで効果がより高まるのです。
写経をやる回数ですが、わたしは「音読5回 × 写経5回」を1セットでやり、1週間後にもう1セット。その2週間後にもう1セット。計15回の写経を目処としています。
「そんなにやるの?」と思うかもですが、脳は「重要ではない情報」は忘れるようにできています。
「これは重要な情報だ。記憶しておこう」と脳が判断するのは、何度もくり返して使われるような情報です。
個人差はあるでしょうが、わたしは5回くり返したあたりから、その文章に宿る独特のリズムや文体(スタイル)を体感的につかめてくる感があります。そこから自分の文章として実際にアウトプットまでできるようになるまで、もう10回って感じ。
反復すればいいって話じゃないですが、「継続は力なり」という言葉もあります。自分的に身につく実感のあるやり方を貫くのが結果的に効率も良いと思いますよ。
写経の題材はどんなものがいい?
基本的には、自分が読んでいて「心地よい」と感じられる文章でいいと思います。というのも写経ってぶっちゃけ飽きるからです。
だから自分好みの文章を題材にしたほうがモチベーションも維持しやすく、習慣化もしやすいはずです。
なおセールスレターやPR文章など「ビジネス向きの文章力を強化していきたい」場合は、スワイプファイルの写経がおすすめです。
スワイプファイルとはたとえば、ロバート・コリアー氏の『オールウェザーコート』や『O・ヘンリー短編集』など驚異的な商業的成果を上げたセールスレターのことです。
「どっちも知らん」という人は、『伝説のコピーライティング実践バイブル―史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269』(神田昌典 著)という本で学ぶのがわかりやすいと思います。
お値段は少しお高めですが、上記2つの詳しい分析と解説もされてますし、 “売れる文章の型” を体感的に学ぶのにうってつけの教材ですよ。
ただし、すぐれた名文を写経することが正解とは限りません。「こういうのを書きたいわけじゃない」と思いながら写経しても、あまり染み込みません。
あなたの目的や書きたい文体(スタイル)と合ってないものよりかは、「自分の心がときめいた」で選んだほうがモチベーションも上がり、分析もしやすいと思いますよ。
個人的にオススメの写経しやすいライトな題材3つ
文章量が短いライトな題材で、個人的におすすめの3つを紹介しておきます。
①:読売新聞のコラム『編集手帳』
②:クロネコ屋の無料メルマガ講座PR文章
③:Slackのリリースノート
①:読売新聞のコラム『編集手帳』
わたしは一時期、新聞のコラム写経をよくやってました。新聞のコラムは時事ネタから暮らしの話題まで内容が豊富なので飽きにくく、語彙力を増やすのにも向いてます。
朝日新聞の『天声人語」でも毎日新聞の『余録』でも好みでいいですが、個人的には読売新聞の『編集手帳』を推します。
編集手帳で扱う題材は身近なものが多く、エッセイ調で読みやすい。「老若男女に伝わる文章」を学ぶ題材としてもうってつけです。
文字数が460文字と他紙よりも若干短く、そのぶん高度な構成力・要約力・文章力を要求されることからも「密度が濃い」と感じます。
なお編集手帳を読むには読売新聞を購読する必要があります。編集手帳は「傑作選」がリリースされてるので、まずは試し読みして「続けられそう」と思えたら検討してみては。
写経に慣れてない人がいきなり長文から挑むと早期脱落します。まずはライトな題材から入るほうが習慣化もしやすいですよ。
>> 読売新聞コラム 竹内政明の「編集手帳」傑作選 Kindle版
②:クロネコ屋の無料メルマガ講座PR文章
続いて紹介するのは、元作家のブロガー・経営者・マーケターのクロネコ屋さんが、自身の公式ブログ内で紹介されている無料メルマガ講座 のPR文章です。

文中の随所に施されたセールスライティングに、「マジで稼げるかも」と想像を掻き立てられます。
わたしは一読したあと、流れるようにメルマガを購読してました(笑)
以下はブログからの一部引用です。(全文は公式ブログでどうぞ)
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(中略)
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注目ポイントをいくつか挙げてみます。まずは「最小限の努力でお金持ちになれる方法を知りたいですか?」という切り口が秀逸です。
人は「問いかけ」の型で入られると、「私に向かって話しかけている」と感じ、当事者意識が強まります。
すると「自分に関係ある話だ」のように感じるので、おのずと聞く耳をもってもらいやすくなるのです。
次に、「最小限の努力で」と強調している部分です。これは「一定量の努力は必要ですよ」と前置きしつつ、「頑張りすぎなくても成功しますよ」が前提 となっています。
人はお金持ちにはなりたくても、「難しいならやらない」「面倒くさい方法ならやらない」を選択する生き物なので、「最小限の努力で」というフレーズは刺さりやすい。
なので「〇〇することが前提」の切り口で話を進めるのは、現状維持バイアスが強い人の心理的負担を下げる のに有効といえます。
続いて、「お金持ちになれる方法を知りたいですか?」という部分です。
食い気味で「Yes!」って答えたくなるような問いかけですが、ここで狙っているのは「YES誘導話法」という心理効果です。
人の心理として、相手に賛同するような態度を示したあとは、「No」とは言いづらくなります。なので意図的に相手が「Yes」と答えやすい質問をしておくことで、続きを読んでもらいやすくなる状況をつくれるのです。
あと、以下の文言にも注目です。
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この一文で、無料・タダ・0円の3つの言い回しで、「お得」を強調していることにすぐに気づきましたか?
人は「無料」という言葉にめっぽう弱いです。意味的には同じの「タダ」「0円」も目を引きやすいワードです。
「タダ」にはキャッチーな響きがあり、「0円」には損はしないといった安心安全のニュアンスが感じられますよね。
「無料」のワード単発では反応がニブくても、「タダ」「0円」と言い回しを変えて織り交ぜられると、反応する人は確実に増えると考えられます。
あなたがアフィリエイトブログを書くための文章力を磨いていきたいなら、クロネコ屋さんのブログ を題材に写経することで多くのを気づきを得られるかもしれません。
実際、クロネコ屋さんの「A8.net(ASP)」でのランクはブラックSSランク(最上位ランクの一個下)ですからね。神ですよ。
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③:Slackのリリースノート
最後に紹介するのは「Slackのリリースノート」です。
リリースノートとは、新しいソフトウェア(の版)を提供する際に公表される、以前の版からの変更点(不具合の修正点、利用上の注意点など)をまとめた資料的なものですね。
以下は、Slackのリリースノートが脚光を浴びるきっかけとなった、Twitterユーザー K S Y(@qea_tokyo)さんのツイートです。
以下、引用文です。(※読みやすいように若干修正してます)
お待たせしました!ついに、モバイル版アプリでもU Iを大幅にアップデート!
ここでは、改善点や何が新しくなったのかをかいつまんでご紹介します。より詳しくは、ヘルプセンターや、SlackHQ.comのブログをチェックしてみてください。
新着情報
・さて、では何が新しくなったのか、簡単にいえば「ほとんど」です。ほぼすべてをより使いやすく改善しました!
バグ修正
・最大の改善点は、アプリの画面下部のナビゲーションバーから、チャンネルリストを表示する画面、ダイレクトメッセージ、メンションとリアクション、そして自分の設定ページへ素早く移動できるようにしたことです。
これによって、ユーザーの皆さんが最もよく行う4つの操作、「チャンネル移動」「DMチェック」「メンションや絵文字リアクションのチェック」そして「設定変更」がよりスムーズ&簡単になりました!🙌
・とても便利なデスクトップアプリのクイックスイッチャーですが、リサーチの結果、モバイルではあまり使われていないことが判明。
そこで、モバイルでは「別の会話へ移動」ボックスを見やすいところへ移動しました。ちょっとチャンネル移動がしやすくなっているとうれしいです。
・モバイル版にも「新規メッセージ作成ボタン」が登場。画面の右下あたりに、何やら見慣れない緑のアイコンをみつけたら、まさにそれです!ぜひ使ってみてください。
・モバイルアプリで、リマインダーを設定したり、ワークフローやアプリにアクセスしにくい!といったお困りの声にお答えして、モバイル版でも「ショートカット」ボタンが使えるようになりました。チャンネルやDMのメッセージボックスの下の「稲妻アイコン」をタップしてみてください。
・以前のアプリでは、左右にスワイプ操作が多く、ちょっとわかりづらかったかと思います。これをもっとシンプルに改善!これからは「右スワイプでワークスペースメニュー、左スワイプで直近の会話を表示」。覚えやすいですね!
・最後に。
皆さんには、今回の大幅なアップデートによって、違和感を感じられたり、せっかく覚えた操作をまた覚え直したりと、ご不便をおかけすることになるかと思います。申しわけありません!
ですが、これまで継ぎ接ぎのように改善や機能の追加を繰り返した結果、使いにくくなってきていた点があり、それを思い切って改善する必要があったことをご理解いただけたらと思います。
この大きな決断の背景にご興味がありましたら、ぜひブログをチェックしてみてください。また、新しくなったUIに関するフィードバックもお待ちしています!
概要がまずわかりやすい。事情・背景をきちんと説明してるからアップデートの必要性を理解できます。
また、専門知識がない人にもわかりやすいよう、平易な言葉を選んでいるなって感じます。
リリースノートの大半は、書き手・自社視点で書かれた「Meメッセージ」です。書き手都合の情報を一方的に、事務的に送りつけてる文章ってイメージがあったので、こんなにも「読み手想い」なリリースノートは衝撃でした。
「そっかそっか! そういうことなら全然OK! 開発してくれてありがとね!」って感じでお礼を言いたくなりますね(笑)
そして、このリリースノートの着目点を、UXライター・コピーライターのnaoさん が、ご自身のnote内で的確に分析し解説されてます。
受け入りの情報で恐縮ですが、私はこちら一読したあとに速攻で写経しました。
ぜひリンク先で、naoさんの記事をチェックしてみてください。

>> SlackのUXライティングが名文だったので写経した (naoさんのnote)
naoさんがポイントとして挙げていたのが、共感・理由・人格 の3点です。
ここにフォーカスしつつ文章を書き写してみると、このリリースノートがいかにユーザー視点に配慮されたものであるかがわかると思います。
naoさんクラスの観察眼をもって分析するのは簡単ではありませんが、「写経 × 分析」によって得られる気づきは圧倒的に増えるはずです。

ご精読ありがとうございました。最後にリマインドを。
くれぐれも写経を思考停止した状態でダラダラやらないでください。それだとタイピングの練習です。「分析とセット」でやってくださいね。
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某広告代理店で編集者兼ライターをしているHiraQです。
ライティング初心者や新卒の方から、「文章力を上げるにはどうしたらいいですか?」とたまに訊かれます。
いろいろなアプローチがあり正解はないのですが、わたしは「写経(写筆)」を勧めることが多いです。