【激ムズ?】景品表示法務検定に勉強期間2ヶ月で挑んだ結果(2023年度)

 

景品表示法務検定は、不当景品類及び不当表示防止法(以下、景表法と記載)に関する知識や法的な理解を評価するための検定であり、主に、企業の法務部門や販促・広告担当者向けの試験です。

景表法に関する正確な理解を深め、適切な法令順守を確保するための知識を問われる内容となっていることから、合格者は「景表法の基礎知識を一定以上有している」との目安になるでしょう。

そのため、企業が提供する商品・サービスの広告表示等を監視・監督する管理担当者としての役割や、消費者保護のための取り組みに貢献できる人材であることをアピールできます。

 

景表法に特化した検定資格がそもそも少ないのと、本試験は消費者庁の後援を得ている点からも、所有価値はそれなりに高いと思われます。

  

過去3年の合格率は平均2割以下

 

景品表示法務検定の過去の受験者数、合格者数は以下のとおり。

【出典】一般社団法人全国公正取引協議会連合会

 

受験者の大半が、何かしらの法務関連業務に従事していると考えても、わりと低めの合格率ですよね。

 

 

受験のきっかけはステマ規制

 

わたしが本試験を受験したのは、“ステマ告示”こと「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を禁止する告示(2023年10月1日施行)」がきっかけでした。

わたしは、某広告代理店勤務ではあるものの、法務部やコンプライアンス部門の所属とかではないため、業務上馴染みのない景品類や懸賞関連、公正競争規約、措置命令、課徴金制度あたりに関しての知識は未熟なレベルだったんですよね。

そこでステマ告示の施行にともない、広告運用基準の理解および実務対応力の強化、景表法を基礎から学び直したかったこともあり、受験を決めました。

 

過去問題集がなくて対策がしにくい

 

本試験の学習を始めるにあたり、「マジか」と思ったのが、過去問題集が販売されていないこと。

ただ、景品表示法務検定の公式サイト参考問題の掲載があるので、なんとな〜くの雰囲気は掴むことはできます。

なお出題範囲と配点は、以下のとおり。

【出典】一般社団法人 全国公正取引協議会連合会:「景品表示法務検定の問題 」より

 

4択の問題が50問。各2点で100点満点です。

出題形式は、文章の”適否”を問う2択の問題2問が1セットになった4択問題です。

【出典】一般社団法人 全国公正取引協議会連合会:「景品表示法務検定の問題 」より

 

なお受験対策にあたり、以下のようなアドバイスがありました。

出題範囲は、景品表示法全般です。消費者庁ウェブサイトに掲載された景品表示法に関する各種の公表資料や景品表示法の概要等を解説した参考書に習熟するとともに、 一般社団法人全国公正取引協議会連合会が実施する景品表示法に関するセミナー、研修会等も活用しつつ、学習を進めることにより、 景品表示法務検定の合格に必要な知識・能力を身につけられると考えられます。
⇒ 消費者庁ウェブサイト

【出典】一般社団法人 全国公正取引協議会連合会:「景品表示法務検定の問題 」より

過去問などをまとめた問題集は販売しておりません。適否を問う2択問題(上記出題例)を意識して、 市販の参考書を読むのが近道ではないかと思われます。
(参考書の例)
 a 「景品表示法」(商事法務)
 b 「景品表示法の法律相談」(青林書院)
 c 「広告宣伝・景品表示に関する法律と実務」(日本加除出版)
 d この他、学習するに当たっては「景品表示法関係法令集」(一般社団法人全国公正取引協議会連合会刊)を適宜参照されることをお勧めします。同法令集には景品表示法、同施行令等の法令のほか、消費者庁等が発出しているガイドラインなどを収録しています(※最新刊は令和4年版であり、所謂ステルスマーケティング告示及び令和5年改正は未収録)。

【出典】一般社団法人 全国公正取引協議会連合会:「景品表示法務検定の問題 」より

これまで受験された方から、公正競争規約を覚えるのが難しいということもお聞きしています。公正競争規約の概要については、当連合会の次のページが参考にしていただけます。
⇒ 公正競争規約とは
⇒ 公正取引協議会・公正競争規約一覧

上記のページの中で、全ての公正競争規約が閲覧できますのでそれを順にご覧いただくのが良いかと思います。 規約の数はたくさんありますが、構成はどれもほぼ同じですから、それほど苦にならず読破可能かと思われます。

【出典】一般社団法人 全国公正取引協議会連合会:「景品表示法務検定の問題 」より

わたしは試験を終えてみて、公式のアドバイスどおりだったなと思えたので、公式サイトに掲載されている情報は、ひと通り目を通しておいたほうがいいですよ。

また、先述の「消費者庁ウェブサイトに掲載された景品表示法に関する各種の公表資料〜」とアドバイスがあったように、消費者庁が掲載している景品表示法関連の情報・資料は、しっかりとチェックしておきたいところ。

わたしは消費者庁サイトや公取の資料以外にも、企業や法律事務所などが公開してるもので、役立ちそうな資料は片っ端からストックしてました。

▼ 参考までに、学習に役立った資料を記載しておきます。

  

景品表示法務検定に勉強期間2ヶ月で挑んだ結果

 

受験を決めたのが9月の後半で、試験日は11月の後半。準備期間はちょうど2ヶ月ありました。

正直、間に合うのか不安でしたが、結果は84点で、スタンダード(80〜89点)クラスに合格できました。

合格率は低いし、過去問がなくて対策が立てづらいし、X(旧ツイッター)でも「激ムズ」の声が散見されたし、直前まで「多分ムリだろう」と思っていました。

もともと再受験を見越してましたし、肩の力を抜いて挑めたのが、功を奏したのかもしれません。

なお、2024年度(令和6年度)の試験から、合格判定基準が、従来の80点から「70点以上」へと引き下げになったそうです。

令和5年に、景品表示法に新たな告示が追加されたほか、法改正が行われたことにより、 景品表示法務検定の出題範囲(※受験のために履修すべき範囲)が拡大されます。
これを受けて、合格基準を70点以上に改定します(従来は80点)。 この変更は、試験の難易度を踏まえて合格基準を引き下げるものであり、 必ずしも従来の70点台で不合格だった方が合格できるわけではありません。
また、合格クラスには、これまでのアドバンス(90点以上)、スタンダード(80点以上)に加え、 新たにベーシック(70点以上)が設けられます。

【出典】一般社団法人 全国公正取引協議会連合会

24年度の難易度が例年並みであれば、「従来よりも受かりやすくなった」のかもしれません。

 

過去の配点及び平均点は以下のとおり。CBT(Computer Based Testing)試験なので、終了後すぐに採点結果が表示されます。

【出典】一般社団法人 全国公正取引協議会連合会:「景品表示法務検定の結果概要」より

 

試験後に印刷されたスコアシートをもらえるのですが、ポケットにつっこんで歩いてたら速攻で無くしました……。(受付の方、ごめんなさい)

シートでは配点の内訳のみの記載で、どの問題を間違えたのかまではわかりません。

個人的に、「2 不当表示」は、一番自信のあるジャンルだったのですが、32点と取りこぼしていたので悔しかったですね。

ちなみに、試験合格者は、全国公正取引協議会連合会が開催する景品表示法セミナーを、特別料金で受講できるようになります。

法務系セミナーって、個人で受講すると結構高いので、この特典はわりとおいしい。

 

重箱の隅をつつくような難問は少なかった

 

たとえば、「景表法5条2号における・・・」みたいな問題があったとして、「2号ではなく正しくは3号です」みたいな意地の悪い問題ばかり出るのではとビビってましたが、基本的な内容を問うものが大半で、「想定していたよりは難しくなかった」というのが、わたしの率直な感想です。

とはいえ出題範囲が広く、各分野から偏りなく出題されるため、全体をバランスよく学習しておく必要があります。

最初は理解が追いつかなくてもいいので、浅く広く、外堀から少しずつ埋めていくイメージを持って、コツコツやっていくといいでしょう。

個人的におすすめできないのは、不得意分野を捨てる戦法です。

というのは、たとえば、公正競争規約の内容が、ご自分の職務・業界との関連性が低い場合、「実用性ないから捨てるか」と考えたくなりますよね。

しかし、本試験は景表法全分野から偏りなく出題されるので、苦手分野の学習を怠り、その分野が多めに出題されたら場合、大量失点につながります。

本試験においては、得意分野を伸ばすよりも、苦手分野をなくして、全体をバランスよく底上げしていったほうが、8割台をマークしやすいと思いました。

 

教本は何を買えばいい?

 

景品表示法務検定の公式サイトでは、以下4つの参考書を学習教材として推奨しています。

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【出典】一般社団法人 全国公正取引協議会連合会:「景品表示法務検定の問題 」より

 

上記のうちでメイン教材となるのが、 “緑本”こと『景品表示法(第6版)』で、極論、この1冊を極めれば受かると思います。

もちろん、全冊揃えても良いとは思いますが、結局は自分に合ったものでないと使わなくなりますし、テキストが多すぎると力が分散し、かえって頭に入りにくくなる場合もあるでしょう。

実際、わたしは緑本しか購入してませんが受かりましたので、緑本はマストで購入し、他は必要性に応じて検討すればいいかと。

 

 

約3年ぶりの改訂版となる『景品表示法(第7版)』が、24年9月5日に発売されました。なお現在は紙書籍のみで、電子書籍(Kindle版)では出ていない模様です。

 

緑本はある程度の法務知識がある方を対象としており、法令用語や業界用語、日常的に使わない言い回しが多いです。

たとえば、「欺瞞的」「射倖心を煽る」「勘案」「参酌」「取引の価額」といった、わかるようでよくわからない的なワードが頻出します。

わたしの場合、自分的に覚えにくい言葉や用語が出る度に、iPad Pro(12.9インチ)のメモ機能を活用し、自分なりの解説や周辺知識を添えて覚えるようにしていました。

 

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12.9インチは、表示サイズが大きくノート感覚で扱えますし、メモ(注釈)やマーカーの種類、検索などの機能が充実しているので、学習効率大幅に引き上げられます。

重要なのになかなか覚えにくい用語や説明って、単体で覚えようとしてもなかなか難しいので、関連性の高い情報と一緒に膨らませて、体系的に覚えたほうがいいかもです。そのほうが本質的に理解できて、記憶にも残りやすくなります。

ちなみに緑本は、365ページと若干、大きめのサイズなので、持ち運びの際に多少かさばりますが、タブレットなら少しも邪魔になりません。

短い学習期間で合格を目指す場合、少しでも効率が良いと思える学習法や学習プラン、ツール選定が重要になってきますので、個人的には iPad Pro(12.9インチ)のような大画面サイズのタブレットを活用した学習をオススメしたいですね。

 

 

なお景品表示法務検定の公式サイトでは紹介されていませんが、「景表法ってなに? おいしいの?ってな」レベルから始める初学者には、“オレンジ本” こと『はじめて学ぶ景品表示法』から入るのもいいかもしれません。

オレンジ本は緑本に比べてページ数が少ないですし、事例が多く掲載されているので、イメージがつきやすいです。

具体的な商品・役務(サービス)を例に、どういった表示が不当表示に該当し、どんな罰則が適用され、どんな処置対応が必要になってくるのかといった一連の流れなどをシンプルに、わかりやすく解説しています。

緑本は法務知識がある人でも、難解に感じられる内容が多いので、初学者はオレンジ本でリーガル耐性をある程度つけてから緑本にステップアップするほうが、学習意欲を落とさず継続しやすいかもです。

また、オレンジ本は本試験の対策教材としてはもちろん、情報更新用の1冊としても使い勝手がいいので重宝しています。

 

 

 

さいごに

 

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本記事は、景品表示法務検定に関する有益な情報を少しでも集めたくて訪問された方が大半だと思いますが、先達からのちょっとしたアドバイスです。

景品表示法務検定は全50問で、制限時間が90分です。見直し時間を考えると、1問につき100秒目安でさばくイメージです。

7割以上(※令和6年度試験より)が合格ラインなので、ぱっと見で「解くのに時間かかりそう」と思ったら問題は、躊躇せずに飛ばして先に進みましょう。

長考した挙句に間違えるというのが一番NGなので、確度の低い問題は後回しにする判断スピードが重要になってきます。

一度、全ての問題に目を通せば、気持ち的に余裕が出て冷静になれます。すると最初は難問だと思えたものでも案外、解けたりするものです。

 

それと、“緑本”こと『景品表示法(第6版)』をマスターすれば受かるとは言いましたが、こちらは2021年の発売なので、直近の景表法改正にともなう変更点などについては、当然カバーしきれていない部分があります。

よって仮に、緑本(第6版)のみで学習対策を行い、試験でステマ告示関連や2024年10月1日より施行された改正「景品表示法」についての問題が多めに出されると、大量失点につながる可能性があります。

実際、わたしが受験した令和5年度では、ステマ告示に関する問題がちらほら見受けられましたが、事前に消費者庁サイトなどから資料をダウンロードし、緑本でカバーしきれてない部分や時事的な情報をさらっておいたことで、失点を防ぐことができました。

なお、緑本の待望の改訂版である『景品表示法(第7版)』が今年の9月に発売されているので、現在6版で学習中の方も、最新版でキャッチアップしておくことを推奨します。

 

ご精読ありがとうございました。

本記事が微力ながらお役に立てることを願っています。

  

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都内の某広告代理店勤務。Web広告のライティング、編集、デザイン業務に従事。当サイト(Writehack.-ライトハックドット-)では主に、Webライターやブロガー、Webデザイナー向けに役立つ記事をゆるく発信します。山梨県出身。いて座のO型。犬より猫派。ラーメンは塩派。サッカーはプレミアリーグ派。