【やや難関?】KTAA認証マーク資格試験に勉強期間5日で挑んだ結果【景品表示法・特定商取引法】

 

つい先日、「KTAA認証マーク資格試験」を受験しました。

KTAA認証マーク資格試験(景品表示法・特定商取引法取扱個人認証規格)とは、一般社団法人 薬機法医療法規格協会が主催する、景品表示法と特定商取引法の認証資格制度です。

KTAAマークは、景品表示法・特定商取引法の知識を習得した広告取扱者の事業活動に関し認定マークの付与、使用が認められるもので、あらゆる広告、あらゆる販売行為に適応されます。

景品表示法・特定商取引の取り扱いに長けた広告担当者の証として、違法行為に抵触しないよう、適切にリスク管理のできる人材であることをアピールできます。

景品表示法(正式名称は、不当景品類及び不当表示防止法)とは、商品やサービスの特徴を、より良く見せるための不当表示(優良誤認表示や有利誤認表示)を行う広告や、過大な景品付きの販売を規制するための法律です。

一方、特定商取引法(正式名称は、特定商取引に関する法律)は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。具体的には、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売など消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、消費者を守るためのクーリング・オフや事業者が守るべきルールを定めています。

景品表示法・特定商取引法に関する広告規制の対象は、広告主だけではありません。関与した広告代理店や広告取扱担当者も規制の対象となることから、是正や罰則を受ける場合があります。

■景品表示法(管轄:消費者庁)
罰則例:2年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその併科

■特定商取引法(管轄:消費者庁)
罰則例: 100万円以下の罰金

【出典】 一般社団法人 薬機法医療法規格協会 YMAA・KTAA 団体認証マークの概要と目的

情報を発信する側は、消費者に適切かつ安全な情報を提供するため、広告や商品、販売方法に関する専門的知識を有していることはもちろん、法に基づいたルールに則り、正しく行う責任があります。

その点においても、KTAA認証マーク資格試験は、広告管理者や商品企画者、広告デザイナー、プロダクトデザイナーなど広告、ECサイトなど商品売買に携わる職種の方への取得が推奨されています。

リスク回避の観点はもちろん、景品表示法と特定商取引法の知識を保有している旨を示す証明ツールとして活用できることから、国家資格ではないものの、広告業や販売業に携わる人であれば取得するメリットは小さくないでしょう。

 

KTAA認証マーク資格試験を受験したきっかけ

 

わたしは広告代理店勤務で、主にWEB広告のライティング・デザイン業務に従事していますが、特商法に関しては業務レベルで扱っていませんでした。

特に自主的な学習もしていなかったので、自分の知識習熟度がどれくらいかをわかりやすく可視化しておきたかったのが一番の理由です。

また、同協会が主催する「YMAA認証マーク資格試験(薬機法・医療法適法広告取扱個人認証規格)」にも合格しており、両方取得することで多少なりとも所有価値が高まり、「業務レベルに達している」のエビデンスになるとの思惑もありました。

▼ YMAA認証マーク資格試験の受験体験記はこちら

 

KTAA認証マーク資格試験は、比較的歴史の浅い資格試験なので認知度は高くはないかもですが、株式会社サイバーエージェントや株式会社インタースペース、ソウルドアウト株式会社などの有名企業がKTAA認証マークを取得しており、団体認証マークの取得企業としても紹介されています。

KTAA団体認証マークの概要と目的については、こちら のページを参照ください。

薬機法、医療広告ガイドライン、景品表示法、特定商取引法が厳しくなる中、健康食品や化粧品などを販売するメーカー企業やその広告を取り扱う広告代理店は、消費者や行政、株主に対し遵守指針を 示さねばなりません。そこで当協会では薬機法、医療法、景品表示法、特定商取引法について遵法に広告を行っている事業者に対して団体認証マークを提供しています。

薬機法、医療広告ガイドライン、景品表示法、特定商取引法を遵守している企業の証として、企業ブランディングと行政指導へのリスクヘッジ、就労者を守る観点からYMAA・KTAAの団体認証マークの取得を推奨しています。

広告における行政からの指導には殆どの会社が従わざるを得ませんが、しかし時に行政からの指導が間違っている場合もあります。
このような場合に我々は行政と企業の中間に立ち、当協会所属の弁護団が第三者目線で違法性の審議を図ります。

【出典】 一般社団法人薬機法医療法規格協会YMAA・KTAA 団体認証マークの概要と目的

 

なお数百社以上の広告代理店等がYMAA・KTAA認証マークを取得している中で、YMAA・KTAA両方のゴールド認証を取得している広告代理店はわずか10社にとどまります。

 

自社広告の制作依頼や運用代行先を比較検討する上でも、KTAA団体認証マークを取得している広告代理店であれば、法的な罰則を受けるリスクを事前に回避でき、より適した方法での提案・運用が可能になる目安になり、差別化ポイントになりそうですよね。

ちなみにインターネット広告の国内市場規模(※1)は、2022年に3兆912億円と、マスコミ4媒体(テレビメディア、新聞、雑誌、ラジオ)の2兆3,985億円を上回っています。

(※1) 総務省:令和5年度 広告 第2部 情報通信分野の現状と課題 第3節 放送・コンテンツ分野の動向(2) 広告 より参照

今後もネット広告市場の拡大が予想されますが、アドベリフィケーション(ネット広告のリスク対策)や不当表示(優良誤認表示・有利誤認表示など)の問題から、違法行為が依然として起きているのが現状です。

こうした背景からも、景品表示法・特定商取引法に関する一定以上の知識を有する人材が評価され、KTAA認証マークの知名度、所有価値も上がっていくのではないかと個人的にはみています。

そもそも景表法や特商法に特化した検定資格自体が少ないのもありますが、両分野の知識習熟度を測る検定としての信頼性は、それなりに高いのではないでしょうか。

 

試験概要について

 

公式サイトによると、KTAA認証マーク資格試験の合格率は、30.7%とのこと。

受験者の大半がなにかしらの法務関連業務に従事していると考えると、難易度的には「やや難関」でしょうか。

 

 

本試験に受験資格は特になく、事前の申し込み手続き等も不要です。

受験費用は無料ですが、KTAA認証マークを発行する場合、別途で6,600円(税込)が必要になります。

オンライン試験なの好きなタイミングでいつでも受けることができ、不合格になっても期間をおくことなく再受験できるようです。

合格率は30.7%と渋いですが、挑戦ハードルは激甘ですね。

公式サイトには、出題範囲についての明確な記載がないため、範囲は景表法・特商法の両分野ともに全般となる模様です。

問題形式は二尺択一型の全59問がランダムに出され、85%正解で合格となります。YMAA認証マーク試験の合格ラインは90%なので、こちらは若干ゆるめですね。

制限時間は設けられていませんが、見直し時間を含めて60分もあれば十分かと。

 

▼ 本試験は以下から受けられます。

 

試験対策にやったこと

 

前述のとおり、KTAA認証マーク資格試験は、不合格になっても何度でも再受験可能なので、初回は感覚をつかむイメージで、様子見受験するのもアリとは思います。

ただし再受験した場合、おそらく重複する問題が出てきますし、わたしの本来の目的は現時点での景表法、特商法についての知識習熟度を図ることであって、「一度受験済み」のバフがかかった状態で合格できても微妙に思えたので、勉強期間を5日(1日2時間)おいた上で挑みました。

わたしが試験対策としてやったことですが、景表法分野に関しては少し前に、景品表示法務検定に合格していたこともあり、本試験においての対策はほとんどしてません。

▼ 景表法分野の学習については、こちらの記事を参考にしてみてください

 

一方、特商法分野については全然業務レベルではなく、「特定継続的役務提供」「連鎖販売取引」「預託法」などの用語が出て来ても、いまいちピンと来ない雑魚レベル。そのため学習時間は、ほぼ特商法分野に割きました。

前述のとおり、KTAA認証マーク資格試験の公式サイトには、景表法・特商法の両分野ともに出題範囲についての情報がないだけでなく、学習方法や教本の紹介、学習マニュアルの配布的なものはありません。

そのためどう進めたらいいものか途方に暮れかけましたが、本試験の対策(主に特商法分野)を講じるうえで、役立った資料を以下に記載してます。参考にどうぞです。

・消費者庁:特定商取引法(※特商法に関する資料のリンク先まとめ的なもの)

↑消費者庁サイトに限らずですが、わたしは役立ちそうな資料は片っ端からストックしてました。

特定商取引法ガイド

↑個人的にはこれが一番役立ちました。とくに「Q&A」と「事例紹介」は必見。

東京くらしWEB:事業者向け法令学習コンテンツ 《特定商取引法》

↑全問完璧に正解できるくらいでないと、合格は難しいかも。

・東京くらしWEB:事業者向け法令学習コンテンツ 《景品表示法》

↑全問完璧に正解できるくらいでないと、合格は難しいかも。

 

勉強期間5日で【合格率30.7%】に挑んだ結果

 

59問中51問正解で、合格(ギリギリ)と相成りました!

なお試験後に表示されるのは点数のみ。どの問題を間違えたかわからないので復習しにくい・・・。

ちなみにYMAA認証マーク資格試験では、試験終了後に「学習マニュアル」的な資料をDLできるようになっていましたが、KTAA認証マーク資格試験にはそういったものはないみたいです。

不合格だともらえるのかもしれませんが、こちら未確認です。

 

合格後に有料で取得できる認証マークは、名刺やメールの署名につけて活用することができます。

 

マーク取得者は、景表法や特商法に関する知見を「ある程度保有している」と評価され、自主的に知識の習得や情報収集に取り組んでいる姿勢を、わかりやすい形で企業や広告主にアピールできるでしょう。

 

【出典】一般社団法人薬機法医療法規格協会 マークの表示について

 

マークを表示できる場所について、公式サイトでは以下のように記載されています。

Q:マークを表示できる場所

マークを表示できる場所はマークの種類によって異なります。

■YBマーク、MBマーク
WEBサイト、商品、説明書、店頭、宣伝や広告用資料、契約約款、封筒・便箋・はがき、名刺、メール署名など

■YMAA個人認証マーク、KTAA個人認証マーク
名刺、メール署名など

■YMAA団体認証マーク、KTAA団体認証マーク
WEBサイト、事業所や店頭、宣伝や広告用資料、契約約款、封筒・便箋・はがき、名刺、メール署名など

詳しくはこちらをご覧ください。

【出典】一般社団法人薬機法医療法規格協会 よくある質問 – マークの表示 –

 

「名刺、メール署名など」の“など”の含みが気になったので、公式サイトに問い合わせたところ、以下の回答をいただけたので、参考までに掲載しておきます。

個人認証マークの使用範囲については個人のメール署名・取得者様の名刺にご使用いただけます。個人認証取得の旨や認証番号を文章にて記載いただくことは問題ございません。

また、認証マーク画像については取得者様の個人が運営されるサイトであれば掲載は問題ございません。

note等、SNS・webサイトの運営元が取得者様と異なる場合はデザインデータの掲載は不可となります。

 

僭越ながらアドバイスを

 

本試験の難易度についてですが、景表法・特商法の両分野ともに、客観的に見てもそこまで高いものとは思いませんでした。

景表法分野に関しては、多少のアドバンテージがあったとは思いますが、あくまで基本的な内容を問うものが大半であからさまな難問はなかったと思います。

特商法分野に関しては、たとえば「不実告知」といって、勧誘に際し重要な事項について不実(ウソ)の内容を告げる行為は禁止されており、違反すると懲役又は罰金又はそれらの併科になる場合があるのですが、少し前の法改正にて、違反した場合の罰金、懲役刑の上限が引き上げられています。

・不実告知等に対する法人への罰金を300万円以下から1億円以下に引上げ

・業務停止命令違反に対する懲役刑の上限を2年から3年に引上げ 等

【出典】消費者庁:平成30年版消費者白書 目次 第2部 第1章 第4節 (1)改正特定商取引法の施行

問題文では、数字部分を改正前の内容にして引っ掛けてきたりするので、数字部分の把握が曖昧だと、「不実告知の場合、罰金でいくらだっけ?」とか「業務停止の懲役上限って2年、いや3年だったかな・・・」と迷い、失点につながりやすくなります。

KTAA認証マーク資格試験では出題範囲の指定がないため、全体を偏りなく目を通して体系的に覚えていかないと、実質カンで答える場面が多くなってしまい、85%マークは難しくなるでしょう。

YMAA認証マーク資格試験でもそうでしたが、難しい部分はそこまで深く掘り下げなくてもいいので、まずは全体を偏りなく、浅く広く網羅するつもりで1周やりきる。外堀からきっちり埋めていくイメージを持って学習するのがコツかなと。

 

おわりに

 

本試験の合格率は30.7%と決して高くはないですし、1回で受からなかったとしても、そこまで落ち込む必要はないと思います。

むしろ試験に落ちたことで、景表法や特商法への学習意欲がより高まったのであればプラスですし、あなたの知識習熟度も確実に高まっているはずです。

ぶっちゃけ本試験は再受験が何度でもできるので、マークを取得することをとにかく優先するのであれば、「数打ちゃ当たる作戦」でいずれは合格できると思います。

ただし、合格というのはあくまで結果に過ぎませんし、大切なのは、試験と学習期間を通じて得た知識を、今後どのように活かしていくかですよね。

何のためにKTAA認証マーク資格試験を受験するのか、今後の業務等にどう活かしていくのか目的が明確でないと、付け焼き刃で覚えた内容などすぐに忘れてしまうでしょう。

わたしの場合、取得する目的をはっきりさせ、学習期間(締切)を5日と限定して尻に火をつけたことで、より高い集中力をもって挑むことができたように思います。

また、今回の受験を通して、広告業に従事する者として、自主的な学習や情報収集を怠ってはいけないなと、思いを新たにする機会にもなりましたね。

本記事は、KTAA認証マーク資格試験に関する情報を少しでも集めたくていらっしゃった方が大半だと思いますが、微力ながら参考になれば嬉しいです。

ご精読ありがとうございました!

 

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HiraQ編集者/WEBライター/WEBデザイナー
都内の某広告代理店勤務。Web広告のライティング、編集、デザイン業務に従事。当サイト(Writehack.-ライトハックドット-)では主に、Webライターやブロガー、Webデザイナーに役立つ記事をゆるく発信。山梨出身。いて座のO型。犬より猫派。ラーメンは塩派。サッカーはプレミアリーグ派。