【合格率30.7%】YMAA認証マーク資格試験に勉強期間1日で挑んだ結果【薬機法・医療法】

 

YMAA認証マーク資格試験」とは、一般社団法人薬機法医療法規格協会が主催する薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)と医療法(医療広告ガイドライン)に適合した広告の認証資格制度です。

認証マークを取得することで、美容・医療広告の取り扱いにおいて、適切なリスク管理ができる知識・能力を有する者と評価されます。

 

 

医療広告は、販売事業者や医療機関だけでなく、広告代理店や広告担当者も規制の対象です。よって違反が認められた場合、是正命令や罰則が科される可能性があります。

国家資格ではないものの、医療広告に関する法的知識を有し、適切なリスク管理を行う能力があることを示すツールとなることから、美容・医療広告に携わっている人や、今後携わる可能性がある人にも役立つ資格でしょう。

 

美容・医療広告の規制は、とりわけ厳しくなっている

 

美容・医療広告は、他の広告に比べて特に規制が厳しいです。というのも、医療行為はきわめて専門性の高いサービスであり、人の生命や身体に直接関わるため、他の広告よりも被害が大きくなるケースが多いからです。

実際、一般消費者(患者)が複数の医療広告から情報を得て、適切な判断を下すことは困難です。

そのため、虚偽・誇大表現を含む不当な医療広告の情報を鵜呑みし、不適切なサービスを受けることで、被害が拡大する事案が多く発生しているのです。

このような背景から、消費者保護の強化と、医療広告における信頼性と透明性を高めることが求められ、薬機法や医療法(医療広告ガイドライン)における表示義務の明確化や罰則の厳格化といった法的整備が進められています。

 

YMAA認証マーク資格試験を受験したきっかけ

 

筆者は広告代理店勤務で、主にWEB広告のライティング・デザイン業務に従事していますが、美容・医療系の広告案件をメインに扱うようなポジションではありません。

ただし過去に製薬会社の健食記事広告や美容医療機器(メンズエステ)の記事広告、医療広告ポータルサイトのリニューアル案件を担当したことがあったので、「最低限の知識ならある」といったレベルです。

また、わたしが少し前に受験した景表法務検定試験もそうですが、現時点で自分がどれくらい薬機法や医療法(医療広告ガイドライン)を理解できているか可視化しておきたいと思っていたので受験を決めました。

 

YMAA認証マーク資格試験は比較的新しい資格試験なのでご存知でない方もいらっしゃるでしょうが、株式会社サイバーエージェント、バリューコマース株式会社、株式会社マイベストなどの有名企業がこの認証マークを取得しており、団体認証マークの取得企業としても認知されています。

YMAA団体認証マークの概要と目的については、 こちら のページを参照ください。

薬機法、景表法が厳しくなる中、健康食品や化粧品などを販売するメーカー企業やその広告を取り扱う広告代理店は、消費者や行政、株主に対し遵守指針を示さねばなりません。

広告担当個人による判断では、ちょっとした薬機法の解釈の違いが大きな犯罪に繋がりかねないのが現状です。 消費者に安全な商品広告を配信すると同時に自社を守るために薬機法医療法規格協会では薬機法、景表法の知識が必要な業種をご紹介いたします。

薬機法、景表法を遵守している企業の証として、これら業種を採用している企業には、企業としてのブランディングと行政指導へのリスクヘッジ、就労者の守る観点として団体認証の取得を推奨いたします。

【出典】一般社団法人薬機法医療法規格協会:薬機法・医療法・景品表示法・特定商取引法を遵守した広告の証

 

インターネット広告の国内市場規模(※1)は、2022年に3兆912億円と、マスコミ4媒体(テレビメディア、新聞、雑誌、ラジオ)の2兆3,985億円を上回っています。

(※1) 総務省:令和5年度 広告 第2部 情報通信分野の現状と課題 第3節 放送・コンテンツ分野の動向(2) 広告 より参照

ネット市場は今後も成長が見込まれますが、アドベリフィケーション(ネット広告のリスク管理)や不当表示(誇大広告や虚偽広告など)の問題は引き続き存在するものと考えれます。

こうした背景から、薬機法や医療法(医療広告ガイドライン)に詳しい人材への需要は増えていくと思われ、YMAA認証マークの知名度や価値が高まると個人的にはみています。

 

「違反とは知らなかった」では免れない

 

薬機法や医療広告の規制は、広告主である販売事業者や医療機関だけでなく、広告代理店や広告担当者も対象となります。

薬機法や医療法に違反すると、広告主だけでなく、ライターやデザイナー、広告代理店も責任を問われる可能性があります。「知らなかった」「意図していたことではなかった」では免れません。

2020年には、薬機法に違反した健康食品のアフィリエイト広告を出稿した広告主だけでなく、広告代理店や制作会社の関係者も訴追される事案も発生し、WEB広告業界に大きな衝撃を与えました。

違反が認められると、勧告や指導、是正が命じられる場合がありますが、悪質な場合は以下のような罰則が科される可能性があります。

■薬機法 (管轄;厚生労働省・警察)
└最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその併科

■医療法(管轄:保健所・警察)
└6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金

薬機法や医療法は、一般的にあまり知られていない規定も多く、広告主や制作者(広告代理店、ライター、デザイナーなど)が違反していること自体に気付かず、広告配信してしまっている事例が散見されます。

薬機法や医療法(医療広告ガイドライン)を理解し、適切な広告表現や法務知識を身につけることは、正確な情報を消費者に提供し、広告主や制作者の信頼を守る上で不可欠です。

そして、インターネット広告運営者、商品企画者、広告デザイナー、ライター(ブロガー)などは、違反リスクを減らすために柔軟かつ的確な判断力、すなわち「リーガルマインド(法的思考力)」を持つことが求められます。

たとえばライターの場合、クライアントの要望に応えるライティングをしながらも、法律を遵守した適切な広告表現を提案し、リスクを避けるバランス感覚が必要になってきます。

そうした感覚を養ううえでも、YMAAマーク認証マーク資格の取得を目指して、学習することには価値があるます。薬機法や医療法の知識を持っていることを示すツールになりますし、クライアントの信頼性や評価を高めることにもつながるでしょう。

また、YMAAマークを取得している従業員が多い広告代理店では、YBマーク、MBマークの取次代理店資格の取得も可能であり、他社との差別化や知識保有のアピールにつながります。従業員の知識向上や管理体制の強化にも役立ちます。

医療行為は非常に専門的で、人の生命や健康に直接的にかかわる分野です。「違反とは知らなかった」で免れるものではないことを、肝に銘じなくてはなりません。

  

試験概要について

 

一般社団法人薬機法医療法規格協会の公表によれば、YMAA認証マーク資格試験の合格率は30.7%です。

受験者の大半が、なんらかの法務業務に従事していると考えると、「やや難関」と言えそうです。

 

 

なお出題範囲について、公式サイトには明確な記載がないことから、薬機法・医療法分野ともに全般となる模様です。

本試験は こちら のページから受けられます。

 

受験資格は特になく、事前の申し込み手続きは不要です。オンライン試験なので、自分の都合の良いタイミングで受験することができます。

受験費用は無料ですが、YMAAマークを発行する場合、別途6,600円(税込)が必要です。また、不合格でも、日時を置くことなく再受験が可能のようです。

問題形式は二択一型の全59問で、ランダムに出題されます。正答率が90%以上で合格となります。

公式サイトでは、教本の指定、学習法に関するアドバイスのようなものは特にありませんが、一度受験すると、『YMAA認定試験受験マニュアル(医療法分野/薬機法分野)』という特典資料をダウンロードできるようになります。

この資料はテキスト情報のみで、要点がシンプルにまとめられており、比較的読みやすいものになっています。

1回で合格したい場合は、受験マニュアルを先にダウンロードし予習を済ませてからの方が、学習効率としてはいいかもしれません。

 

わたしが試験対策にやったこと

 

お伝えしたとおり、YMAA認証マーク資格試験は何度でも再受験ができます。そのため、初回は落ちるのを前提で、様子見で受けるというのもアリとは思います。

ただし再受験した場合、おそらく重複する問題が出てきます。わたしの受験目的は、現時点での薬機法と医療法(医療広告ガイドライン)の知識習熟度を図ることでしたので、「一度受験済み」のバフのかかった状態で合格できても知識習得の観点からは意味がないので、勉強期間を1日(約6時間)おいたうえで挑みました。

ちなみに、わたしが試験対策としてやったことは、仕事上仕入れた薬機法と医療法に関する資料やセミナー動画などを活用した学び直しです。記憶を呼び覚ましながら、全体を浅く広くさらいました。

なお、以下の資料やサイトは、本試験の対策上、非常に役立ちましたので、リンクを記載しておきます。

 

勉強期間1日で【合格率30.7%】に挑んだ結果

 

59問中56問正解で、無事合格できました。

 

認証マークは、名刺やメールの署名につけることができ、美容・医療広告での表現やルールに関する知識を備えていることや、薬機法や医療法の知識習得に努めている姿勢を、企業や広告主にわかりやすく示すことができるでしょう。

 

 

マークを表示できる場所について、公式サイトでは以下のように記載されています。

Q:マークを表示できる場所

マークを表示できる場所はマークの種類によって異なります。

■YBマーク、MBマーク
WEBサイト、商品、説明書、店頭、宣伝や広告用資料、契約約款、封筒・便箋・はがき、名刺、メール署名など

■YMAA個人認証マーク、KTAA個人認証マーク
名刺、メール署名など

■YMAA団体認証マーク、KTAA団体認証マーク
WEBサイト、事業所や店頭、宣伝や広告用資料、契約約款、封筒・便箋・はがき、名刺、メール署名など

詳しくはこちらをご覧ください。

【出典】一般社団法人薬機法医療法規格協会 よくある質問 – マークの表示 –

こちらを見る限り、たとえば個人ブログやSNSアカウントのプロフィールなどで、YMAA個人認証マークを表示して使うといった活用法は可としてないようなので、そういった使い方を想定している場合はご注意を。

【追記:2023/1/5】

「名刺、メール署名など」の含みが気になったので、公式サイトに問い合わせてみたところ、以下のような回答をいただけました。参考までに掲載しておきます。

個人認証マークの使用範囲については個人のメール署名・取得者様の名刺にご使用いただけます。個人認証取得の旨や認証番号を文章にて記載いただくことは問題ございません。

また、認証マーク画像については取得者様の個人が運営されるサイトであれば掲載は問題ございません。

note等、SNS・webサイトの運営元が取得者様と異なる場合はデザインデータの掲載は不可となります。

 

僭越ながらアドバイスを

 

客観的に見ても、試験の難易度はそこまで高くはないと感じました。薬機法・医療法分野ともに基本的な内容が問われるもので、難解な問題やトリッキーな問題は少なかったです。

もちろん、「誰でも合格できる」というほど簡単じゃないです。実際、約7割は落ちてます。

わたしの場合は業務上、薬機法や医療法に携わる機会があったことから、多少のアドバンテージはありましたが、そうでない人の場合、しっかりとした準備が必要になるでしょう。

僭越ながらアドバイスすると、難しい部分は深く掘り下げなくてもいいので、全体を浅く広く理解することが重要です。本試験は出題範囲が絞られていないため、全般をカバーしていないと、初見の問題に対応することができません。

仮に、「とりあえず合格さえできればいい。実績だけゲットできればいい」という場合は、先ほども言ったように、受験マニュアルをまずダウンロードし、徹底的に読みこんでから受けるというのが、やはり近道かなと。カンペっぽくはなりますが、マニュアルの内容をさらっておけば、得点に直結する問題が多く出題されていたので。

あと、初見の問題が出た場合でもカンで答えるのではなく、その質問内容が、薬機法、医療法における観点から正しいと言えるのか、本質と言えるのかを考えてジャッジすると、案外答えられる問題もわりとあったように思います。

薬機法や医療法が、そもそも何のために存在し、何を守るためのものなのか、存在意義を改めて考えてみることも大切です。すると興味関心も湧いてきて、理解しやすくもなるはずです。

 

おわりに

 

本試験の合格率は30.7%と高くないですし、1回で受からなくても気に病む必要はありません。

むしろ試験に落ちたことで、「ちゃんと理解しなければ!」と学習意欲が高まり、知識習熟度は高まります。

形だけの取得に大した意味はありません。重要なことは、学習期間を通じて得た法務知識を、今後どのように活かしていくかです。

本記事が、YMAA認証マーク資格試験の受験を検討中のあなたの参考になれば幸いです。ご精読ありがとうございました!

 

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HiraQ編集者/WEBライター/WEBデザイナー
都内の某広告代理店勤務。Web広告のライティング、編集、デザイン業務に従事。当サイト(Writehack.-ライトハックドット-)では主に、Webライターやブロガー、Webデザイナー向けに役立つ記事をゆるく発信します。山梨県出身。いて座のO型。犬より猫派。ラーメンは塩派。サッカーはプレミアリーグ派。