某広告代理店で編集者兼ライターをしているHiraQです。
商品・サービスを売るためのコピーや文章を書くことをセールスライティングといいますが、その中でわりとよく出てくる用語に「リスクリバーサル」があります。
リスクリバーサルの主な役割は、商品・サービスの購入の際に “イイ感じの保証” をつけて、買い手の不安・リスクを取り除いてあげることです。
商品・サービスを購入する際に感じる不安やリスクを先回りする
めちゃくちゃ欲しい商品・サービスがあって買う気にはなってるのに、購入ボタンをポチる踏ん切りがつかないときってありますよね。
買う気にはなってるのに一歩が踏み出せないのは、そこに何らかの不安やリスクを感じさせる要素があるからです。
たとえば以下のような「価格面」「成果面」「品質面」に対するものです。
コレ欲しいんだけどちょっと高いのよね。今月余裕ないし、この額で失敗したら痛すぎる……。
口コミの評価がいいから使ってみたいけど、俺にも同じように効果あるのかなぁ……。
この手の商品って故障しやすいイメージある。不良品つかまれそうで怖いな……。
そこで買い手が商品・サービスを購入する際に感じる不安やリスクを先回りし、何を言えば、何を用意すれば、それらの不安を払拭できるかを突き詰めていくことが、リスクリバーサルの基本的な考え方になります。
リスクリバーサルの代表例に「返金保証」がありますが、返金保証をアピールする場合、以下のような文言を添えるのも有効です。
・期間内に効果を実感いただけなかった場合、返品希望のご連絡から1週間以内に全額返金いたします。
・商品にご満足いただけなかった場合、理由をお伺いすることなく、全額ご返金いたします。
・品質に問題があった場合、「着払い」で弊社まで商品を返送ください。到着確認後、速やかに新品をお送りいたします。
・使用中に故障した場合でも、商品到着日から30日以内にご連絡いただければ代金はいただきません。
効果なかったらお金返してくれるんだ? だったら試してやってもいいか!
満足できなければ返金って強気だな。それだけ商品に自信があるってことだろうし期待できるかも?
使ってる途中で壊れた場合でも無料で交換してくれるのか! 送料も向こう持ちなら損しないな。
買い手の懸念点にマッチした保証内容を用意することで買い手に安心感を提供でき、商品・サービスへの期待感、売り手への信頼感を高めることにもつながります。
ひいては購入を前向きに検討してもらいやすくなるのです。
買い手がみんな、返金保証を求めているわけではない
──買い手が魅力を感じるリスクリバーサルとは何か?
これを考えるうえでまず押さえておいてほしいのが、お客さんがみんな返金保証を必ずしも求めているわけではないという点です。
もちろん返金保証は購入を後押しするポイントにはなり得るのですが、買い手の本来の目的は、その商品・サービスを買って本当に満足できるかという “結果” です。
お金を払うこと自体がイヤなのではなく、結果に満足できなかった結果として、お金が無駄になるのを恐れています。
仮に顧客の感じるリスクの要因が「価格面の不安」だと解釈し返金保証をつけても、実際には成果面や品質面の不安が要因だった場合、買い手の懸念点とマッチしてない保証をつけていることになります。
買い手からすればそういうのは別に求めていないので、魅力的なリスクリバーサルになっていないのです。
「価値あるものを提供してる」自負があるなら、臆せず返金保証のリスクリバーサルを設定すべき
「ご満足いただけなければ、全額返金させていただきます!」
こういった自信マンマンな返金保証をつけている商品・サービスを見かけることがありますが、強気な返金保証をつけることに抵抗のある売り手は少なくないでしょう。
だって、せっかく売れたのに返金要請が大量に来たら困るし!
たしかに返金保証的なリスクリバーサルは、売り手の背負うリスクも大きくなりますが「価値あるものを提供してる」自負があるなら、臆せず返金保証を設定すべきと考えます。
消費者は値段や品質、ネームバリューなどさまざまな要素を勘案して購入を検討しますが、「自信のある人から買いたい」という思いは共通ですし、買う気にはなっているのに一歩が踏み出せないでいる相手には、強気なアピールが有効だからです。
売り手の覚悟と品質力への自信を示すうえでも「全額保証」の文言はメッセージ性がありますし、「価値のあるものを提供してる」自負があってこそ自信も生まれます。
逆にいうと、返金保証をつけることに弱腰になるのは「商品・サービスの品質力を高める作業が足りてない」の証明とも言えます。
無料の商品・サービスにも、リスクリバーサルは必要
ここまではリスクリバーサルの代表例である「返金保証」を軸に解説してきましたが、返金保証は基本的に、利益を生む高額の商品・サービス(バックエンド)を売る際につけるものです。
そのため新規集客を主目的とする、少額もしくは無料の商品・サービス(フロントエンド)を売る場合、返金保証をつける必要性があまりないです。
フロントエンドは、商品・サービスを試してもらい、まずは知ってもらうことが優先。たとえば、無料お試しサンプルやトライアルキット。無料の資料請求。無料見積もり。無料相談といった少額 or 無料提供が基本です。
無料の商品なら、買い手がお金を損することってないもんね。
じゃあ、無料の商品・サービスを売る場合、リスクリバーサルはなくてもいいってこと?
いいえ、無料の商品・サービスにも、リスクリバーサルは必要です。
買い手にとってのリスクとは、お金に限ったことではありません。たとえば、購入までにかかる時間や労力、ストレスなんかもリスクです。また、過去の実体験による先入観から「無料こそリスクがある」と牽制してしまう人も少なくありません。
無料の資料を取り寄せたら、希望してない関連商品のDMやパンフレットが毎月山のように届くようになった……。
ペット保険のパンフレットだけ欲しくて無料相談に行ったのに、その場で契約の話まで進められたのにはビックリしたな……。
実家の市場価値を知っておきたくてA社に無料査定を依頼したんだけど、その後、いろんな業者から営業電話や郵送物が届くようになった……。
無料の商品・サービスの場合、たとえば以下のような説明文を添えることで、買い手の不安感を薄める効果が期待できるでしょう。
・資料請求をお取り寄せいただいても、本商品の購入、契約義務は一切ございません。また、到着確認等のお電話を差し上げることはございません。
・ご相談は何度でも無料です。小さなことでも構いませんのでお気軽にお問合せください。
・〇〇(商品名)は初めての方にはお売りできません。初回の方にはトライアルキット(7日分)を完全無料・送料無料でお送りしますので、体験されたうえで購入をご検討ください。
・お届けのためにご住所・お電話番号をご入力いただききますが、無料サンプルのお届け以外の目的で、弊社から郵送物が届いたり、お電話を差し上げることはございません。
・ご本人確認のため、一度だけ電話連絡をさせていただきます。電話番号は000ー***ーxxxxで通知されます。ご本人さま確認以外に、弊社からお電話を差し上げることはございません。
・クレジットカードは「VISA、JCB、AMEX、MasterCard」のみご利用可能です。それ以外のカードはご利用できませんので、お手元のカードをお確かめのうえ、お手続きください。
最後のクレジットカードのところがわかりにくかったと思うので補足しますと、「使えるカード」を明記してないサイトってわりと多いです。いざ決済しようとしたところでカードが使えないとわかるとイラッとしますよね。
そんなふうに買い手に疑問を残したり、情報を伏せたまま曖昧に話を進めたりすると、購入の際にためらいが生まれ、離脱につながりやすくなります。
また、「上から目線」や「杓子定規な伝え方」になっていないかにも注意です。たとえば、サイト内における「Q&A」のページなどは、いかにも取ってつけたようなテンプレ文章になっているものが多いです。
売り手に都合のいい部分だけ載せて終わりではなく、曖昧な表現をできるだけ避けたり、具体的な一例・補足を設けるなどして、顧客目線を配慮した文章になっていることも、リスクリバーサルの一種です。
どれだけ魅力的な商品・サービスでも「これを買って本当に満足できるだろうか」と買い手は常に不安を抱えています。
何が買い手に不安・リスクだと認識させてしまっているのかを、正確に把握することはたやすくはないですが、買い手の懸念点や猜疑心を吹き飛ばす魅力的なリスクリバーサルを提供できて初めて、商品・サービスならび、売り手(あなた)を信頼してくれるのだと肝に銘じたいものですね。
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商品・サービスを購入してもらうにはリスクリバーサルが重要って聞いたんだけどリスクリバーサルって何?
わかるようでわからないから、どんなふうに理解して使えばいいのか教えてくれる?